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全然違う！　トヨタGR86とスバルBRZ：池田直渡「週刊モータージャーナル」（3/5 ページ）

» 2021年11月29日 07時00分公開

[池田直渡，ITmedia]

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　そこで気付いた。これはこういう走り方を前提に造られていないのではないか？　そこで運転の仕方を変えた。GRはそもそもレース屋である。これはもしや最新のレーシングドライバーの走り方に合わせてあるのではないか？　そう思ったのだ。

GR86／BRZは同じスバル製水平対向エンジンを搭載する

　コーナーへのアプローチは、ステアリングを切る前に終える。ブレーキは残してはいけない。旋回は可能な限り短く、つまり真っすぐ入って一気に向きを変えて、ステアリングを早く戻して全開加速のイメージだ。要するに「曲がっている状態は加速や減速にとって効率が悪い」から、真っすぐ止まって、真っすぐ加速する。そのためには可能な限り短時間で向きを変えるのだ。

　垂直荷重が変わらなければ、タイヤのグリップ総量は常に一定。加速減速などの縦方向のグリップとコーナーリングなどの横方向グリップの総和は、グリップ総量に規制される。つまり縦と横はゼロサムで奪い合う関係なので、加速も減速もしていない時に横力の最大値が発生することになる。つまり減速を終えてから、ブレーキにもアクセルにも触らずにハンドルを切って、タイヤの能力を横力に全振りすることで一気に向きを変え、それによって、車両がただ真っすぐ加速できる状態へと早く移行させるわけだ。こういう走り方をするとGR86は極めて精密な走りを見せる。

　では、BRZはどうなのだといえば、もう書かずとも分かるだろう。古典的なスポーツドライビングの基本通りにクルマが動く。マツダ・ロードスターと同じ系統だ。存分にお作法を楽しむことができ、その限りにおいてレベルは高く、安心感と安定感があり、懐の深さを感じる。バカみたいに飛ばさないドライバーにとって、とても良いものだと思った。何より「ああ、これこれ」という手応えがある。ただし、ハンドリングのキレを強く求める人には少し物足りない部分はあるかもしれない。

提案型のGR86と共感型のBRZ

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