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全然違う！　トヨタGR86とスバルBRZ：池田直渡「週刊モータージャーナル」（5/5 ページ）

» 2021年11月29日 07時00分公開

トヨタとスバル、それぞれのビジネス

　常識的に考えて、スバルの体力ではそういう無茶はできない。「乗りにくい」と総スカンを食らったら、経営に響いてしまう。一方トヨタは、もともと体力が桁違いである。スバルとの共同開発でコスト低減を図っている上、ダメならまたセッティングを変えれば済む話。むしろ試したことがないことに挑んでみることの価値が高いわけだ。

　もし市販車世界初ともいえるこの運転メソッドを評価する声が大きければ、トヨタとGRブランドの「本物志向」的価値を確立する第一歩になる可能性があるのである。

　ビジネス面から考えると、ある程度かっちりとした成功を見込みたいスバルと、あくまでも攻めの姿勢を貫くことで、ある種のブレークスルーを遂げてブランド価値を高めたいトヨタ。そのそれぞれのアプローチということになるだろう。

　さて、最後に私見である。筆者が買うなら、慣れ親しんだお作法が楽しめるBRZだ。GR86との対比のせいで、まるで古くさいかのように受け取られてしまったかもしれないが、万能性が高く、GT的要素があるスポーツカーとして安心してどこにでも行かれ、運転の楽しさもキチンと備わっている。

　ということで、少々難しいかもしれないが、機会があれば、2台の違いを自ら試してみてほしいと思う。

筆者プロフィール：池田直渡（いけだなおと）

　1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ（現ネコ・パブリッシング）入社。取次営業、自動車雑誌（カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン）の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイスコミュニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

　以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う他、YouTubeチャンネル「全部クルマのハナシ」を運営。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答も行っている。

新型86とBRZ　スポーツカービジネスの最新トレンド
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