制度導入後は残業時間管理をせず、上司から部下に「残業してもしなくても固定的に残業手当を出すから定時に帰りなさい」と指導するようにした。
以前から残業ゼロだった社員については手当額が増えたことになる。一方、従来は残業していた社員などは手当額が減ったケースもあったが、その点での不満は出ていないという。不公平感がなくなった効果が大きいのだろう。
制度導入から20年。現在では管理部門では、ほとんどの社員が定時退社するようになった。営業部門でも、固定残業制の導入以後は、営業に出たまま直帰する社員が増えるようになった。残業ゼロを呼びかけるだけでは徹底されなかった定時退社が、固定残業制を導入したことで浸透したのは、人間心理の一面をうまく捉えていたからだろう。
濱野社長によれば「固定残業制は、不公平感をなくして残業ゼロを目指すという方向に機能していると考えています。残業ゼロの社員にも残業手当を支給するのが矛盾といえば矛盾ですが、制度はこのまま続けるつもりです」とのことである。
最近ではワークライフバランスが注目され、残業削減を目指す企業も増えた。同社の固定残業制は何らかのヒントになるのではないだろうか。
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