新幹線だけじゃない! JR東海の「在来線」はどうなってるのか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(6/11 ページ)

» 2021年12月17日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

JR東海にもあったローカル線廃止問題

 ちなみにJR北海道が経営問題に直面して「当社単独では維持できない」とした平均通過人員は2000人/日以下で、JR東海では飯田線、参宮線、紀勢線、名松線が該当する。名松線に至ってはJR北海道でバス転換したいとする200人/日に近く、鉄道で維持されていることが奇跡といえる。それらがなぜ維持されているかといえば、東海道新幹線の稼ぎがあるからだ。

 JR東海が本当に東海道新幹線を優遇したいなら、これらローカル線は足切りするだろう。そうしない理由は在来線の維持についても責任を持っているからであり、その責任は国鉄分割民営化の時の約束があるからだ。

 国鉄時代に「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法」によって赤字路線の洗い出しと廃止・バス転換が行われ、平均通過人員4000人/日未満の路線が整理された。このほかの不採算路線については、運賃計算キロを割り増すことで運賃値上げを認めた。JR各社の負担を減らした上で、これ以上の路線廃止をしないという約束があった。

 ただし、国鉄分割民営化から30年以上が経過し、当時は廃止を逃れた路線も4000人/日を下回る路線が続出している。いつ廃止論議があってもおかしくない状況だ。ちなみに、JR東海の路線でも過去に廃止論議はあった。名松線と参宮線だ。

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