新幹線だけじゃない! JR東海の「在来線」はどうなってるのか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/11 ページ)

» 2021年12月17日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 JR東海の電車は現在の主力車両313系と315系の2本立てとなり、すべてJR東海以降の形式になる。ディーゼルカーのほうも11年からキハ25形を投入し、国鉄から継承したキハ40形を16年に全廃済みだ。211系電車の引退によって、1987年にJRグループが発足して35年、JR東海は初めて国鉄型車両を一掃した。

 新幹線ばかり注目されるJR東海は、在来線の若返りにも注力した。「新幹線を優遇している」という声も聞くけれども、車両の設備投資でいえばそれは誤り。JR東海の20年3月期の運輸収益は92%が東海道新幹線で、在来線は8%にとどまっている。むしろJR東海は新幹線の稼ぎを在来線整備にぶち込んでいるといえる。

 もっとも、これはJR東海発足時の約束のようなもの。国鉄を分割して民営化したとき、JR東日本は首都圏、JR西日本は京阪神というドル箱があり、ローカル線の赤字を埋め合わせられる。しかしJR東海エリアの在来線のほとんどか赤字ローカル線だ。東海道新幹線を任せるから、岐阜・愛知・静岡・長野(南部)の赤字在来線を面倒見てくれよ、というわけだ。

JR東海の在来線路線図(地理院地図を加工)

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