新幹線だけじゃない! JR東海の「在来線」はどうなってるのか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/11 ページ)

» 2021年12月17日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]
  • 飯田線:豊橋〜辰野、195.7キロメートル、平均通過人員1874人

 東海道線の豊橋と中央線の辰野駅を結ぶ長大なローカル線だ。豊橋〜新城間21.6キロメートルの運行頻度が高く、豊橋もしくは名古屋への通勤圏、新城〜本長篠間が次に多い。

 長野県側は飯田〜辰野間が上下とも1時間に1本程度となる。中部天竜〜天竜峡間は上下とも1日数本のローカル運行となる。豊橋〜辰野間を7時間以上も掛けて直通する各駅停車がある。青春18きっぷファンなら話のタネに1度は乗り通したくなる。平均通過人員はJR東日本の磐越西線の1810人/日、JR西日本の因美線の1800人/日に近い。

  • 参宮線:多気〜鳥羽、29.1キロメートル、平均通過人員1755人/日

 紀勢本線の多気駅から分岐し、伊勢市を経由して鳥羽に至る。伊勢神宮参拝客のために作られ、当初は関西線亀山駅から鳥羽までが参宮線だった。その後、亀山〜多気間が紀勢本線に組み込まれたため支線扱いとなっている。名古屋からは快速「みえ」が直通しているけれども、平行する近鉄特急が圧倒的優位となっている。

  • 紀勢線:亀山〜新宮、180.2キロメートル、平均通過人員1746人/日

 紀勢線は亀山〜新宮〜和歌山間で紀伊半島を半周する長い路線だ。このうち新宮の東側がJR東海の管轄となっている。三重県庁所在地の津駅を擁(よう)するけれども、沿線に大都市がなく、全線にわたってローカル路線だ。名古屋〜新宮間の特急を走らせるための路線ともいえる。長大な閑散区間が平均通過人員を下げており、JR東日本の水郡線の1720人/日、JR西日本の芸備線の1699人/日が近い。

  • 名松線:松坂〜伊勢奥津、43.5キロメートル、平均通過人員288人/日

 紀勢線の松坂駅と山の中の伊勢奥津駅を結ぶ支線。大正時代に奈良県桜井と松坂と名張を結ぶ路線として計画された路線の一部として、松坂側から名張を目指して建設された。しかし民間の参宮急行電鉄(後の近鉄)が松坂〜中川〜名張間を先に開通させてしまったため建設の意義が薄くなり、延伸工事が打ち切られて現在に至る。平均通過人員はほかの路線より各段に少ない。JR東日本の只見線の304人/日以下、JR西日本の木次線の205人/日より少し多い。

JR東海在来線の平均通過人員。黄色が2000人/日未満、緑色が2000〜4000人/日未満(地理院地図を加工)

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