企業と採用候補者の双方にとって「理想的な面接」とはどのようなものだろうか?
ITやAIの進展に伴い、多くの企業が採用管理システムやタレントマネジメントシステムの導入を進めている。その一方で、採用選考の要である面接は、現在でも担当者の属人的なスキルに頼らざるを得ない状況が続いている。
そんな中、大手消費財メーカーのユニリーバ・ジャパン(以下、ユニリーバ)では、2020年春から顔写真・性別欄・ファーストネームを用いない採用選考を開始した。この施策をリードした同社取締役人事総務本部長の島田由香氏と、面接における候補者体験のアップデートを目指すシステム「HRアナリスト」を開発したシングラーの熊谷豪氏(代表取締役CEO)が対談。これからの面接のあるべき姿について意見を交わした。
シングラー・熊谷豪(以下、熊谷): ユニリーバでは、昨年春より履歴書などの書類から顔写真や性別欄、ファーストネームを削除して採用を実施しています。運用を始めてみて、社内の方々や候補者からの反応はいかがでしたか?
ユニリーバ・島田由香(以下、島田): 取り組みを開始する以前は、「ウチの部門は女性を積極的に採用したいのに書類の段階で見分けが付かなくなるのは困る」といった不安を口にするマネジャーもいました。
しかし、「採用における区別や差別、無意識の先入観をなくしたい」と考えた上での取り組みであることを丁寧に伝え、開始時には各部門のマネジャーからも賛同を得ることができました。
また、人材エージェントが推薦してくれる候補者の数が減るかもしれないという懸念もあったのですが、「このような取り組みをしているユニリーバさんには、むしろ率先して候補者をご紹介していきたい」と言ってくださるエージェントさんが多かったです。本当にありがたいお話ですし、心が温かくなる瞬間が何度もありました。さらには今回の私たちの取り組みに共感してくれる候補者の方々も増えてきており、「素晴らしい考え方だと感じたので応募しました」といった声もいただいています。
このように社内はもちろん候補者の方々からも、総じてポジティブな反応をいただけています。あえてネガティブな要素を挙げるとすれば、写真や性別、ファーストネームが入った状態で送付された履歴書をマスキングする作業が発生することくらいでしょうか。
熊谷: 面接官の方へのトレーニング方法なども変更されたのでしょうか?
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