コロナ禍で品切れ続出、パナのホームベーカリーが5万円でも人気なワケ家電メーカー進化論(3/7 ページ)

» 2021年12月27日 07時00分 公開

コロナ禍による巣篭もりで、9年ぶりの需要増

 ホームベーカリー市場において最も大きな転機になったのが、三洋電機(現パナソニック)が10年に発売した「GOPAN」の登場だ。小麦粉を使わずお米からパンが焼けることが話題となり、既存のホームベーカリーの市場も牽引。全体の総需要も、87年の76万台を超え、約79万台にまで伸びた。

 「GOPANは当時、知らない人がいないような大ヒット商品でした。小麦粉アレルギーに加えて、お米の消費促進や応援というアプローチもあったと思います。ホームベーカリー市場全体では、そこから再び前年割れの状態が続きますが、20年に前年比169%となり、9年ぶりにプラスに転じました」(石毛氏)

三洋電機(現パナソニック)が10年に発売した、お米からパンが作れる「GOPAN SPM-RB1000」。その後、パナソニック製ホームベーカリーに機能が引き継がれたが、お米のみでパンが作れる機能は現行機種には非搭載となっている

 10年以降は、ホームベーカリー市場全体が伸び悩んだが、街には高級生食パンのお店が増えるなど、パン食自体は広がりを見せていた。総務省が発表している家計調査で、パンの消費金額がお米を抜いたのは11年、2014年以降はパンのほうが完全に多い状態が続いている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.