そのような背景でも、パナソニックのホームベーカリーは17年に累計出荷台数500万台を突破するなど、存在感を示している。
さらに1万円台といった低価格のホームベーカリーが増えるなかで、14年モデルからはインバーターモーターを搭載。また調理可能なメニューについても、食感の異なる「パン・ド・ミ」が焼ける機能、レーズンやナッツなどをたっぷりと入れた生地を粗混ぜできる機能を搭載し、進化を続けてきた。さらに高級生食パン専門店・乃が美の監修の下、ホームベーカリーで生食パンが焼ける「おうち 乃が美」のレシピなども公開している。
「近年で、ホームベーカリー市場が大きく変わったのは20年のコロナ禍による外出自粛です。多くの家電に影響がありましたが、象徴的に伸びたのかホームベーカリーでした。ただ、予想していない出来事だったので、製品の供給も追いついていない状況でした。日清製粉さんと一緒にパンミックスを展開していますが、こちらも品種を絞らないといけない状況になりました」(石毛氏)
コロナ禍での巣篭もり生活では、外出できないストレスをパンやお菓子作りで発散する「ストレスベイキング」という言葉も誕生。パンやお菓子を作る人が急増した。また生徒や学生も、学校が休校して自宅にいたため、家庭内でできるエンターテインメントとしてのパン作りも広がった。
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