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米国が直面する「大退職時代」――若手人材を中心に、日本企業にも到来しそうなワケ2021年のニュース振り返り(1/4 ページ)

» 2021年12月27日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]

 ここ2年間、コロナ禍に苦しめられてきた一方で、これまで常識だと思っていた概念が覆され、新しい時代への扉を開くきっかけになっているとも感じます。遠い未来の働き方だと思われていたテレワークが、コロナ禍を機に一気に身近に感じられるようになったことは最たる例の一つです。

 日本生産性本部の調査結果によると、2021年10月のテレワーク実施率は22.7%。自分自身にテレワーク経験がなくとも、同僚や家族、友人・知人などがテレワークを実施したことがあるという人は、ここ1、2年で著しく増えたと思います。

 ただ、まだテレワークが世の中に浸透したとまではいえません。社内に制度があっても、「テレワークは非常手段、仕事は出社して行うのが原則」という不文律(暗黙の了解)があれば、テレワークを選択したい場面でも後ろめたい気持ちや遠慮の方が勝ってしまいます。

 せっかく明文化された制度があっても、社内の不文律が邪魔をして浸透しないというケースは、テレワーク以外でも見られます。有給休暇があるのに使用しづらいといったケースも、「職場に迷惑だから、有給休暇の使用は極力控えるべき」といった不文律が少なからず邪魔をしています。

 会社組織の中で、不文律の影響力は侮れません。今年話題になった、職場や働き方に関するニュースを振り返ってみても、社内の不文律が影響を与えていると感じるものが多々見られました。

この1年、さまざまな形で浮き彫りになった「不文律」

 大手就職情報サイトのマイナビがメールタイトルに「大東亜以下」と記載してしまった件では、他にも“早慶”や“日東駒専”など、「偏差値が似た大学は、頭文字でグルーピングして構わない」という不文律が、就職情報業界に存在することを浮かび上がらせました。

 とはいえ、マイナビの一件のように「不文律そのもの」に焦点が当たるケースはまれで、圧倒的に多いのは不文律の存在が間接的に影響を与えている、と思われるニュースです。例えば、早期・希望退職の募集対象人数が19年以降3年連続で1万人を超え高水準が続いているというニュースもその一つです。

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