リテール大革命

注文後、10分で届く? 海外で急拡大する「ダークストア」は日本でも流行るのか3社に聞いた(3/5 ページ)

» 2021年12月29日 08時50分 公開
[小林香織ITmedia]

知名度が高い札幌から事業を開始した「ウォルト」

札幌に2拠点を同時開設し、北海道からQコマースをスタートしたウォルト(提供:ウォルト)

 20年3月に日本進出し、着実にマーケットを拡大しているウォルトは、この12月にQコマース事業「ウォルトマーケット」を札幌でスタートさせたばかり。同社では、本社があるフィンランドを皮切りに、8カ国で19店舗のダークストアを運営しており、 コロナ禍で需要が急速に伸びているという。

 「当社は国内2番目の都市として、札幌でのフードデリバリーを20年6月に開始。知名度、ユーザー数、レストランやリテールパートナー数、配達パートナー数がいずれもバランスよく安定していることから、札幌がもっとも新規事業に相応しい環境だと判断しました」(Wolt Market Japan Expansion Manager 福井優貴氏)

 同社の特徴は、約2000点の商品を30分程度で配達すること。商品点数はパンダマートよりかなり少ないものの、野菜や肉類が非常に豊富なのは魅力的だ。札幌の2拠点では、創業40年の「水戸青果」や創業70年の食肉製造・卸会社「肉の山本」など、地元の目利きが厳選したアイテムを取り扱っている。ただし、ウォルトが同様の幅広い商品点数を関東、関西などの地域でも展開できるかどうかは、今後の課題になるかもしれない。

 送料は、1キロメートル以内は99円から、最大399円までとなっており、顧客により幅がある。これは、ユーザーやレストラン、リテールパートナーだけでなく、配達パートナーも満足できるサステナブルなビジネスを展開するためのようだ。「おもてなし」も重視する同社では、自社スタッフが1分ほどで回答するチャットサポートも強みだという。

ピッカーは腕に取り付けたスマートフォンで商品を確認し、素早くピッキングする(提供:ウォルト)

 同社では、朝から夜まで、ほぼ切れ目なく注文が入っており、持ち運びづらい大型商品やケースでの注文のほか、生鮮食品や冷凍のジンギスカンもよく売れているそうだ。

 「ダークストア事業では、地域の需要に応じた独自の品ぞろえがカギになると考えています。地元メーカーの食品などはおなじみの味として人気が高いので、コンビニには並んでいないような、その土地ならではのユニークな商品を数多くそろえられるよう、地域のメーカーと商談を進めています」 (福井氏)

 今後は引き続き北海道内で店舗数を広げつつ、いずれは全国展開も予定しているという。

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