リテール大革命

注文後、10分で届く? 海外で急拡大する「ダークストア」は日本でも流行るのか3社に聞いた(2/5 ページ)

» 2021年12月29日 08時50分 公開
[小林香織ITmedia]

10分で配達、東京で4店舗を展開する「オニゴー」

オニゴーを創業した梅下直也氏は1977年生まれ、三井住友銀行での勤務経験を持つ(提供:オニゴー)

 注文からわずか10分の配達を掲げ、学芸大学や駒沢大学など都内に4店舗を持つオニゴーは、21年6月に創業したばかりのスタートアップ。取り扱い商品は約1300点と多くはないが、ミシュラン三ツ星を獲得したシェフが作る冷凍弁当シリーズや肉類を扱うほか、お得なセールも展開する。

 最大の特徴は、注文から10分で到着するスピード配達。競合が30分ほどで設定しているなか、3分の1の速さというのは同社ならでは。この爆速配達の仕組みをどのように実現しているのだろうか。

 「1店舗のカバー範囲を半径2キロメートル以内に絞り込み、自社開発のシステムを用いて3分以内に商品のピックアップを完了することで、10分をメドに配達できています。店舗で待機しているピッカー(ピッキング担当者)は最適な商品配置や導線を日々研究し、微調整を繰り返しています。加えて、ライダー(配達担当者)は所属店舗の配達のみを担当し、短い配達時間で回数を重ねることに注力しています」(梅下氏)

オレンジ色の制服を身に付け、自転車で配達するライダー(提供:オニゴー)

 オニゴーの送料は300円で、競合と比較して安いわけではない。この価格設定について、「事業をスケールさせるために必要なコスト」だと梅下氏はいう。

 「EC需要の急増によるラストワンマイルの配達人員の不足は、深刻な社会問題になっています。一方で、彼らの疲弊も指摘されており、人員が集まらない課題も。当社の事業をスケールするには、ライダーにきちんとした報酬を支払い、持続可能な働き方ができるライダーを増やすことが先決です」(梅下氏)

 フードデリバリーやQコマースにおいて、ライダーは個人事業主として働くことが多いが、同社のライダーは店舗所属のアルバイトとして契約し、配達件数にかかわらず時給制となる。いずれは店長になるなどキャリアアップの道もあるという。この組織体制や教育制度はライダーにとって魅力的であり、彼らがオニゴーを選ぶ理由になるかもしれない。また、ライダーのサービスの質の向上にも役立ちそうだ。

 新規事業、かつスタートアップということで、サプライチェーンの体制づくりは苦労しているという。「生鮮食品も含め手頃な価格帯で仕入れるのは、かなり難易度が高いが、地道で泥臭い努力をして、7年ほどかけてインフラになるビジネスに成長させたい」と梅下氏は展望を語った。

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