注文からわずか10分の配達を掲げ、学芸大学や駒沢大学など都内に4店舗を持つオニゴーは、21年6月に創業したばかりのスタートアップ。取り扱い商品は約1300点と多くはないが、ミシュラン三ツ星を獲得したシェフが作る冷凍弁当シリーズや肉類を扱うほか、お得なセールも展開する。
最大の特徴は、注文から10分で到着するスピード配達。競合が30分ほどで設定しているなか、3分の1の速さというのは同社ならでは。この爆速配達の仕組みをどのように実現しているのだろうか。
「1店舗のカバー範囲を半径2キロメートル以内に絞り込み、自社開発のシステムを用いて3分以内に商品のピックアップを完了することで、10分をメドに配達できています。店舗で待機しているピッカー(ピッキング担当者)は最適な商品配置や導線を日々研究し、微調整を繰り返しています。加えて、ライダー(配達担当者)は所属店舗の配達のみを担当し、短い配達時間で回数を重ねることに注力しています」(梅下氏)
オニゴーの送料は300円で、競合と比較して安いわけではない。この価格設定について、「事業をスケールさせるために必要なコスト」だと梅下氏はいう。
「EC需要の急増によるラストワンマイルの配達人員の不足は、深刻な社会問題になっています。一方で、彼らの疲弊も指摘されており、人員が集まらない課題も。当社の事業をスケールするには、ライダーにきちんとした報酬を支払い、持続可能な働き方ができるライダーを増やすことが先決です」(梅下氏)
フードデリバリーやQコマースにおいて、ライダーは個人事業主として働くことが多いが、同社のライダーは店舗所属のアルバイトとして契約し、配達件数にかかわらず時給制となる。いずれは店長になるなどキャリアアップの道もあるという。この組織体制や教育制度はライダーにとって魅力的であり、彼らがオニゴーを選ぶ理由になるかもしれない。また、ライダーのサービスの質の向上にも役立ちそうだ。
新規事業、かつスタートアップということで、サプライチェーンの体制づくりは苦労しているという。「生鮮食品も含め手頃な価格帯で仕入れるのは、かなり難易度が高いが、地道で泥臭い努力をして、7年ほどかけてインフラになるビジネスに成長させたい」と梅下氏は展望を語った。
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