では、今後人事データ活用を推進する場合、どのような点を押さえておくとよいでしょうか。ここでは3つの観点を記載します。
データ活用は「データの活用レベル」×「データ活用のテーマ」の2軸をもとにし、徐々に拡大していくことが頓挫せずに推進できる大きなポイントとなります。まず、データ活用のレベルは次のように定義できます。
(参考:トーマス・H・ダベンポート、ジェーン・G・ハリス「分析力を武器とする企業」日経 BP 社)
一方で、活用のテーマは下記のような形で定義します。
例えば、さまざまな種類の人事データを活用して要員管理シミュレーションを目的に置いてから推進する場合で考えてみます。この場合、データ活用のレベルが2であれば先にその解決が必要であり、活用テーマの2がまだ実現していない場合は、分析に必要なデータが不足しているため、十分なシミュレーション結果が得られない可能性があるでしょう。
また、当初の実施目的の達成ができない場合、社内的に人事データ活用というプロセス自体に疑問が呈され、否定されることにもつながりかねません。
従って、自社のデータ活用レベルと活用テーマの大きさの現在地を正しく把握することが出発点であり、実現性のある推進計画を立てることが基本となります。
人事部門として最初に行うべきポイントとしては、現在、どのように人事関連のデータを管理できているかの把握です。一般的に、人事データを利用して指標化するような情報には下記が挙げられます。
試しに、現時点で出力可能なデータ群で、上記に関する統計データを作成してみましょう。
その中で、入っていないデータがあったり、別途読み替えが必要となるようなデータがあったりする場合、まずデータの定義や整備を行うことを推奨します。
そしてデータ活用の目的を定義することが必要となります。定義内容は、「誰の」「何の業務に」「どのようなメリットが存在するか(提供者の業務やアクションがどう変化するか)」を言語化することです。
目的のないデータ収集や分析は、単にプロジェクトメンバーの工数や利用ツールの費用が無駄になるだけではなく、真に必要なデータ活用においても疑念を持たせる結果となります。
また、それだけのコストを投入してまでメリットを生み出すことができるのか、仮説を持ったうえでスタートすることが必要です。
一方で、実施してみなければ分からないこともあります。特に、経営層や上位層からのオーダーであれば、何らかの結果をレポートしたうえで、今後のアクションを相談したほうがよいでしょう。
そのためには、データ活用はいきなり全社的、多次元的な目的をターゲットとするのではなく、段階的に実施していくことが現実的なアクションとなります。
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