タイガー、“国内唯一”の炭酸保冷ボトル発売 ペットボトルと炊飯器にヒント 2年の開発秘話アルコール類の持ち運びも(2/3 ページ)

» 2022年01月21日 06時30分 公開

500回以上の実験 「吹き出す炭酸水を何度も浴びた」

 「従来の固定観念を打ち破り、世の中にない新しいボトルを作ろう!」というスローガンのもと、開発が始まった、タイガーの炭酸ボトル。開発の過程で、最大の障壁になったのがボトルキャップ部の開発だ。

 中身が吹き出す恐れがあるとして、同社は炭酸飲料の持ち運びを推奨してこなかったが、その反面、それらを防ぐ技術が確立されていなかったのだ。このため、ボトル内にたまった炭酸ガスを外に抜く栓を一から開発する必要があった。

 そこで開発チームは、炭酸用ペットボトルの構造に着目。炭酸用ペットボトルには、ボトルキャップのねじ部分にガスを外に逃がす溝があり、炭酸ボトルにもその構造を応用した。せんのねじ部分に縦の溝を2カ所入れ、せんを開封方向に回すと、内部の炭酸ガスが抜ける構造に。炭酸ガスが抜けすぎないよう、試行錯誤を繰り返し、溝の大きさを最適なサイズに調整するとともに、力が弱い人でも開栓できるよう工夫も施した。

photo ボトルキャップをひねると、キャップ部の隙間からガスを抜く

 ボトル内部の圧力が上がり、万が一破裂した場合に備え、ボトル内部の圧力を逃がす安全弁も開発した。ペットボトルと異なり、金属製の炭酸ボトルが破裂すると怪我の危険性が高まるためだ。ボトル内部の圧力が異常に上昇した際は、安全弁が自動的に作動。溜まったガスを出し、圧力の上昇を抑える。同社の主力事業である、圧力炊飯器の技術を応用した。

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 バブルロジックという独自構造を確立するまでには、500回以上の実験を繰り返したという。炭酸飲料の市場が拡大し、各社が「強炭酸」の製品を投入している動向を踏まえ、そうした商品でも持ち運べるよう実験を重ねた。開発担当者は「吹き出す炭酸水を何度も浴びた」と振り返る。

photo タイガーの開発担当者

 同社は初年度の日本国内での売り上げ目標を計10万本に設定。日本国内だけでなく、海外展開も視野に入れる。同社は「真空断熱ボトルの可能性を広げるとともに、いつでも、どこでも冷たくフレッシュな状態で炭酸飲料を持ち運ぶことができる喜びを感じてほしい」とコメントしている。

photo 屋外でもビールの冷たさと炭酸を楽しめる

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