一般選抜、附属校・指定校推薦、総合選抜(旧AO入試)、さらにはA日程B日程……。筆者も子どもが大学を受験する年齢になり、日本の入試が自分の時代から随分複雑化していると知った。
一方、中国は「高考(Gaokao)」と呼ばれる全国統一の一発入試で全てが決まる。近年私立大学も増えているが全体としては影が薄く、大学入試といえば、国立大学を指す。
(日本人目線で)高考の怖いところは、全科目受験という点だ。数学、理科を外す日本の「私文型」のように、苦手科目を捨てる選択が取れない。
受験生は高考の得点を見ながら第1志望から第6志望まで(地域によって差がある)を国に提出し、しばらく経ってから「あなたは〇〇大学の入学を許可されました」と通知を受け取る。
併願という概念はないし、全く希望していない大学に割り当てられる例もある。筆者は中国の大学の日本語学科で教えていたが、「工学部志望なのに日本語学科に回された」という新入生もちらほらいた。
と、ここまではシンプルだが、中国人の大学入試の「不公平」「複雑さ」は外国人の想像の及ばない部分に存在する。
例えば、統一入試といいながら、地域によって問題が違うことがあるし、多くの大学が「〇省から××人」と地区別の募集枠を決めている。そうすると、同じ大学の入試でも、A省とB省で合格最低点が数十点違うという事象が起きる。
筆者が勤務していた大学でも、学生たちが「彼女はA省出身」などとよく話していた。それはしばしば、「B省で生まれていたら、もう1ランク上の大学に行けた」というような意味だった。
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