残念な事実として、発信者個人の「社会常識欠如」「自己顕示欲」「承認欲求」「ゆがんだ正義感」が炎上の原因となるケースも多い。「発言は所属組織とは無関係」とただし書きがあっても同一視されるリスクを鑑み、ネット外の普段の行動も含め重々留意を求めることが必要だろう。
投稿が機密情報、個人情報、著作権侵害、根拠薄弱な情報、フェイクニュース、公序良俗に反する内容に該当しないかどうかも事前に必ず確認すべきである。また、いくら意見表明したくとも、公式な立場からは「慎重な判断が必要なデリケートなテーマ」には極力言及しないようにすべきである。具体的には「さしすせそ」で網羅できる。
さ:災害、差別
し:思想、宗教
す:スパム、スポーツ、スキャンダル
せ:政治、セクシャル(LGBT・ジェンダー含む)
そ:操作ミス(誤投稿/誤爆)
そもそも最強の炎上対策は「ポジティブなニュースを数多く用意して、普段から情報発信を継続すること」に尽きる。「思わず写真を撮りたくなる場所や場面を作る」「話題になりそうな体験を提供する」「共有可能な魅力的コンテンツをどんどん出す」といった形で、情報発信したい人に「価値あるニュースだ」と感じてもらえ、そのまま伝えられることを生み出せれば強い。そのようにして一般ユーザーも巻き込み、どんどんネット上で共有できるようにしていけばよいのだ。同じ伝わるなら「良い情報」を伝えたいものである。
普段いくら崇高な理念を掲げている企業であっても、一担当者のネット上における不用意な発言によって、ポジティブイメージは一瞬で瓦解し、不名誉な評判と記憶を残すことになりかねない。本稿をお読みの皆さまも、単なる対岸の炎上事案として観察対象にするだけではなく、この機に対策を徹底し、企業価値を向上させるチャンスとすべく、確実に準備しておくことをおすすめしたい。
働き方改革総合研究所株式会社 代表取締役/ブラック企業アナリスト。
早稲田大学卒業後、複数の上場企業で事業企画、営業管理職、コンサルタント、人事採用担当職などを歴任。2007年、働き方改革総合研究所株式会社設立。労働環境改善による企業価値向上のコンサルティングと、ブラック企業/ブラック社員関連のトラブル解決、レピュテーション改善支援を手掛ける。またTV、新聞など各種メディアでもコメント。厚生労働省ハラスメント対策企画委員も務める。著書に「ワタミの失敗〜『善意の会社』がブラック企業と呼ばれた構造」(KADOKAWA)、「問題社員の正しい辞めさせ方」(リチェンジ)他多数。
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