今回の取材にあたっては、実際に「AI GIJIROKU」を利用し、精度の確認を行った。
以下は筆者が一緒に仕事をしているインターン生との会話からテキストダウンロードを行ったExcelファイルの一部だ。
「AI GIJIROKU」では、自身で単語を登録したり、Googleアカウントとの連携を行ったりすることで単語の認識精度を上げていくことができる。今回は使い始めたばかりということもあり、学習期間としては十分とはいえなかった。
その上で、過去に利用をしていた同様のサービスよりは若干精度が高い体感値を持った。「AI GIJIROKU」の強みは話者の特定や学習による精度向上、特定業種の専門用語の正確性であり、活用を続けることで利便性の高さを享受できるイメージが持てた。
並はずれた成長を見せるプロダクトを立ち上げながらも、オルツは同社が目指すP.A.I.(パーソナル人工知能)の開発と実用化に向け、着々と次の布石を打っている。
「AI GIJIROKU」では国内のみならず、アジア地域における拡大を目指す。英語圏においては1つの単語が複数のイントネーションやニュアンスを持つことが少ないため、同社のパーソナライズの強みが発揮される中国や他のアジア地域においてプロダクトをリリースしていく。
スタートアップデータベースを提供するINITIALの調査では、19年の資金調達企業数を頭打ちに、新たに資金調達を行うSaaSスタートアップの企業数が年々減少していることが明らかになっている。ここからは近年SaaS領域におけるホワイトスペースが少なくなっていることが伺える。
一方で、AIでの技術革新により生産性を一気に向上させるような新たな製品やビジネスチャンスが生まれ得ることが、今回の事例からも証明されつつある。
「国内だけでなくグローバルで音声からのテキスト化に対し注目が高まっている。医療カルテなど音声データを記録、整理、解析する市場ニーズは高く、海外投資家からの関心は足元で特に強い」(米倉氏)など、技術ドリブンなスタートアップへの投資意欲は高まりを見せている。
「AI GIJIROKU」級のプロダクトが連続的に立ち上がれば、AIは幻滅期を超えて、社会実装が加速する可能性がある。
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