収益の改善の理由は、いくつか挙げられる。まずはKDDIが楽天モバイル向けに提供しているローミングエリアの縮小だ。楽天モバイルは、MNOサービスの立ち上げに際し、暫定的な措置として26年3月末までauネットワークのローミング提供を受けている。楽天モバイルの自社エリア人口カバー率が70%を上回った時点で、両社の協議をもって各都道府県のローミング提供の継続・終了を決定するのだが、楽天からKDDIに支払うローミング料金が「非常に大きな負担」(三木谷氏)となっており、自社エリアを広げ、自社回線利用を増やしていくことがコスト削減のために重要となっている。
自社回線エリアの充実に伴い、21年4月頃から全国各地でこのローミングが停止し始めている。10月には23都道府県で停止し、合計39都道府県でローミングが終了。21年10月末時点で、ローミングが提供されているのは、岩手県、山形県、山梨県、和歌山県、島根県、高知県、長崎県、鹿児島県に限られる。三木谷氏は14日の決算会見で「100億円単位以上の単位で(ローミング費用が)減っていくと思っていただいていい」と発言しており、今後も大きなコスト削減効果が期待できそうだ。
有料ユーザーの増加も収益改善に貢献した。楽天モバイルはサービス開始当初から21年4月8日まで1年間無料キャンペーン、22年2月8日まで3カ月無料キャンペーンを展開していた。これらのキャンペーンで申し込んだユーザーが、順次課金ユーザーに転換される。「Rakuten UN-LIMIT VI」は1Gバイトまでは月額料金が無料だが、エリア拡大やユーザー増加に伴って1Gバイト以上使うユーザーも増加していき、収益が上がることになる。
楽天モバイルのユーザーが増えることで、楽天エコシステムへの貢献も期待できる。楽天市場における1人当たりの年間流通総額を調査すると、モバイル加入をきっかけに、平均の楽天市場利用金額が70%近く上昇。また、楽天カードや楽天銀行、楽天ペイといったグループの他サービスを利用するようになったという。
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