立ち上がりの兆しを見せつつある楽天モバイルだが、懸念点は、獲得している周波数帯の少なさだ。
5Gで使える周波数帯は、他の3キャリアとほぼ同等の帯域を得ているが、4G向けは1.7GHz帯の1波しかない。他キャリアが持つプラチナバンド(800MHz前後の周波数帯)もない。楽天モバイルの自社回線エリアは、22年2月に人口カバー率96%を達成したが、他社はすでに99.9%以上だ。楽天モバイルは総務省にプラチナバンドの再配分を要求しているが、その行方が注目される。
また5Gのエリア化は、ドコモですら「パケ止まり」問題で苦労している。auとソフトバンクも4G周波数の5Gへの転用で、やっとスマホのピクトエリアに「5G」を見る機会が増えてきたと感じる程度だ。
三木谷氏は「知恵と工夫でかなりカバーできている」と言うが、プラチナバンドなくしてどこまでエリアを広げていけるのか。地方の過疎地などは、米ASTスペースモバイル社の衛星通信サービスでカバーし、限りなく100%に近い人口カバー率を目指すとしているが、都市部の混雑地域は自前の4Gと5Gで対応することになる。大阪の駅前地域では5Gネットワークが整備され、「楽天モバイルの5Gのスピードを体感すると驚愕するんじゃないか」(三木谷氏)とアピールしたが、こうしたエリアのさらなる拡大が求められる。
大学卒業後、新卒で某百貨店に就職。その後、出版社に転職。男性向けモノ情報誌、携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年にフリーランスライターとして独立。モバイル業界を中心に取材し、『ITmedia Mobile』などのWeb媒体や雑誌で執筆活動を行っている。最近は『ITmedia ビジネスオンライン』にて人事・総務系ジャンルにもチャレンジしている。
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