クラファンでバカ売れ! 売れるほど赤字だったライト一体型プロジェクター「popIn Aladdin」誕生秘話:家電メーカー進化論(5/9 ページ)
とはいえ、popInはソフト開発会社なので、ハードウェア開発のノウハウはない。さらにバイドゥの傘下に入っているため、勝手に大規模な投資をするわけにもいかなかった。
「当時はちょうどスマートスピーカーが普及し始めた時期で、バイドウ本社も音声認識やスマートスピーカーの開発を始めていました。その流れでハードウェアを作ってもいいという話になったのです。ですから最初、社内には画面が映し出せるスマートスピーカーとして提案して承認を取りました。もしも、今のタイミングだったらハードウェア開発はあり得なかったと思います」(程氏)
バイドゥ本社の承認はとれたが、それほど大きな予算は下りなかった。そこで、クラウドファンディングでテストマーケティングを行うことにする。
ほとんどの部屋の天井にある引掛けシーリングに固定するアイデアが、popIn Aladdinの元になっている
7月に承認が降りたあと、10月に開催される国内展示会CEATECで発表するため、開発が急ピッチで進められた。プロトタイプの制作は、大学院の研究室の先輩でもあるユカイ工学の青木氏に依頼。
スケジュールはタイトだったが、無事にプロトタイプの展示は成功し、さらにmakuakeでのクラウドファンディングも、1676人から7000万円以上の支援を集めて成功。実際に生産に入ることになる。
- 脱東芝の「レグザ」、国内トップシェア争いまでの復活劇
2006年に東芝の薄型テレビブランドとして誕生した「REGZA」は、高画質や多機能で高い支持を集めた人気ブランド。しかし15年頃からの不正会計疑惑により、テレビ事業は18年に中国のハイセンスグループに売却。激動を乗り越えてきた「REGZA」のこれまでと今後について、TVS REGZA 営業本部の2人に話を聞いた。
- 賛否両論の「BALMUDA Phone」、否定的意見は“想定内”
デザイン性の高さと常識にとらわれない家電を生み出してきたバルミューダがスマートフォン「BALMUDA Phone」を発表した。4.9インチで10万円超の価格には、賛否両論が飛び交う。発表会で寺尾社長が語った言葉とスマートフォン事業の統括メンバーへのインタビューから、デジタル機器市場で同社が実現したいことを探る。
- 3年間で大改革の「タイガー」、きっかけは元ソニーの女性役員
1923年創業で、ステンレスボトルや炊飯器などの多くの製品を手掛けるタイガー魔法瓶。2023年に100周年を控えた18年からは、元ソニーでVAIO事業を立ち上げるなどした浅見彰子氏が、既存事業のほか構造改革や未来のビジョンづくりに取り組む。タイガーが抱えていた課題と施策、そして100周年後の展望などを聞いた。
- AV機器メーカーが電気圧力鍋を開発、大ヒットの秘密は「なんでもできる」の廃止
テレビメーカーであるピクセラの子会社・A-Stageが、ライフスタイルブランド「Re・De(リデ)」を立ち上げ初の製品となる電気圧力鍋を発売。2年間の販売目標を8カ月で達成する大ヒットとなった。ピクセラはなぜ、畑違いの調理家電をヒットさせられたのか。A-Stage社長とピクセラ副社長を兼任する藤岡毅氏に聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.