丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由スピン経済の歩き方(2/6 ページ)

» 2022年02月22日 11時43分 公開
[窪田順生ITmedia]

大きな問題を生む恐れ

 では、丸亀製麺はこのような事態を避けるためにどうすべきか。筆者はどこかのタイミングで、「讃岐うどん」という看板を下ろすべきだと考えている。その代わりに「丸亀流うどん」など独自のジャンルを確立する。結果として、こちらほうがファンが増えていくはずだ。

 理由はシンプルで、丸亀製麺が日本を飛び越えて世界的ブランドになったとき、日本人のように“グレー”を容認することができない外国人などから、「看板に偽りあり」「誇大広告」の誹(そし)りを受ける恐れがある。つまり、讃岐うどん業界と対立を続けていくことは、取り返しのつかない大きな問題を生む恐れがあるからだ。

 それを分かっていただくために、讃岐うどん関係者が、丸亀製麺に向ける不信感がどこからきているのかを振り返っていこう。

 きっかけは、2010年の不可解な「進出」にある。全国で次々と店舗を拡大するようになっていた丸亀製麺がいよいよ、本場の香川に出店するという話になったのだが、そこで香川県民と、讃岐うどん関係者は呆気に取られた。

 できた店はどこからどうみても「丸亀製麺」なのだが、看板には「亀坂製麺」と掲げられていたのだ。ほどなくして「丸亀製麺」と変更になったが、このときから地元の人の中には「なんかおかしくない?」と釈然としないものがあった。

 その不信感がさらに強まったのは13年に、米ニューヨークに「丸亀もんぞう」という店がオープンしたことを受けて、既に米国でブランド展開していた丸亀製麺が、「丸亀を使用するな」とクレームを入れたことである。

 登録商標的な視点に立てば当然ということなのかもしれないが、当時、讃岐うどん関係者から「お前が言うな」のツッコミが入って大炎上した。何を隠そう、「丸亀もんぞう」は丸亀市のうどん店で修行をした人が開業している“リアル讃岐うどん店”だったからだ。

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