さて、ここまで言えば、筆者が何を言いたいのか分かっていただけたのではないか。日本国内のみならず世界で「丸亀製麺=讃岐うどん」というイメージが広がれば当然、中国や欧米の外国人の熱心なファンの中には、「実際に日本のうどんの聖地に行って、本場の丸亀製麺を食べよう」となる。
しかし、丸亀市に行っても、丸亀製麺などどこにもない。それどころか、地元の讃岐うどん関係者からは、「ウソのストーリーとロジック」を広めたなどと言われている。この驚愕(きょうがく)の事実を知った「丸亀製麺ファン」はどう思うか。
「だまされた」と感じるのではないか。そして、自国に戻って、「おい、知ってるか、丸亀製麺って讃岐うどんじゃないらしいぞ」と人に伝えるだろう。日本のユーチューバーのように、スキャンダルをあおるスタイルのインフルエンサーならば、「豚骨スープゲート事件」ならぬ「讃岐うどんゲート事件」だなどと叩く恐れもある。
こういうリスクが控えている中で、「讃岐うどん」という看板に固執し続けるメリットはほとんどない。
ぶっちゃけ今、丸亀製麺へ通っている客の多くは、味、メニュー、ボリューム、価格、接客、店内の過ごしやすさなどを総合的に評価をして利用している。「讃岐うどんだから」ということで店を利用するのはそれほど多くないはずだ。
実際、先ほど申し上げたようにこの10年間、定期的に“丸亀製麺、実は丸亀と全く関係ナシ問題”が炎上して、「あれは讃岐うどんではない」という痛烈な批判も持ち上がるが、そのことによって丸亀製麺で閑古鳥が鳴いているなんて話はほとんど耳にしない。
影響がないのなら、そこまで固執する必要はない。「丸亀」は屋号なので今さら変えると、客の認知度が下がってしまうので致し方ないとしても、「讃岐うどん」に関しては、掲げれば掲げるほど本場の讃岐うどん関係者との溝を深めて、余計な批判を招くだけでメリットは少ない。
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