高速大容量も5Gの特長だが、5G SAになっても、NSA方式より通信速度が上がるとは限らない。現に、ドコモの5G SAは受信時最大1.7Gbps、送信時最大143Mbpsだ。NSA方式である現在の「瞬速5G」が受信時最大4.2Gbps、送信時最大480Mbpsなので、スペック的には物足りない感がある。5G SAで必ずしも通信速度が上がらない点は世界的にも問題視されている。
NSA方式では5G用の周波数帯域に加え、4G用の帯域も活用することで通信速度を上げている。5G SAは5G専用の周波数帯域のみで提供されるため、NSA方式の最大速度には及ばない。速度を上げるには、5Gで使う周波数帯域を増やす必要がある。
また、ABEMAの中継は5G SAで安定性が増したという結果が得られたようだが、NSA方式では提供できない、5G SAならではのメリットがいまひとつはっきりしない点も、導入を考えている企業には悩ましいところだろう。ドコモの担当者は21年12月の説明会で「お客さま(法人顧客)と相談しながらになる」と語っている。
また、独立した5Gネットワークとしては、企業や自治体が、敷地内など特定のエリアで自営の5Gネットワークを構築・運用・利用できる「ローカル5G」もある。ネットワークスライシングによってキャリアが企業などに個別に提供するネットワークを「プライベート5G」ともいうが、ローカル5G、プライベート5G両者のメリット・デメリットを把握して選ぶ必要もある。
ちなみに、5G SAを利用するには5G SAに対応した端末が必要だ。ドコモ、KDDIはコンシューマ向け5G SAの提供を22年夏以降としており、そのタイミングで5G SA対応スマホが登場しそうだ。しかし、5G SAのメリットはコンシューマには感じにくい。コンシューマ向けの5G SAサービスが開始されても、当初はB2B2Cでの提供も含め、新しいサービスの形を引き続き探っていくことになる。
大学卒業後、新卒で某百貨店に就職。その後、出版社に転職。男性向けモノ情報誌、携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年にフリーランスライターとして独立。モバイル業界を中心に取材し、『ITmedia Mobile』などのWeb媒体や雑誌で執筆活動を行っている。最近は『ITmedia ビジネスオンライン』にて人事・総務系ジャンルにもチャレンジしている。
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