ペーパーレス化の動きに伴い、紙を使用する機会はグンと減ったように感じる。一方で、「ちょっと紙に書いて整理したいな」と思った時に紙が見当たらず、小さな付箋にちまちまと書いた経験がある人もいるのではないか。
「コピー用紙を使えばいいじゃないか」という意見もありそうだが、環境配慮の観点からなんとなく紙を使うのも少々気が引ける時代になった。筆者も「本当は表も裏も真っ白な紙に書きたかったけど……」と思いながら、資料の余白に小さい文字を書き込むことに慣れてしまった。
使用済みの紙や機密文書を「ただの白い紙」に再生する機械を開発している企業がある。デュプロ精工(和歌山県紀の川市)開発本部 市場開拓機器G 長田優輔チームリーダーはその製品を「紙の洗濯機」と表現する。
使い終わった紙が新品同様に生まれ変わるとしたら、オフィスで”紙難民”になることもない。しかし、全くイメージが湧かない。どういう仕組みなのだろうか?
「水だけでオフィスの古紙を白い紙に再生する機械『小型製紙機レコティオ(以下、レコティオ)』です。オフィスで使用した紙や不要になった資料などを機械にセットするだけで、印字を全て取り除き、再生紙として生まれ変わらせることができます。機密文書の破棄も可能なので、シュレッダーの役割も果たしてくれます。
機械は2つで1セット、大きさは4×1メートルです。決して小さい機械ではないですが、並べて置いたり、L字型にしたりとある程度自由に形を変えられるようにしました」(長田氏)
レコティオの仕組みとしてはこうだ。
古紙の再生率は80〜90%。つまり古紙を100枚投入したら80〜90枚の再生紙が出てくる計算になる。レコティオを通して生まれた再生紙を再び使用し、またレコティオに投入したとしても出てくる紙の品質はほぼ変わらないという。
「オフィス内で紙を半永久的にリサイクルできるのがレコティオの特徴です。また、環境面でもプラスが多いです。通常、製紙工場では、漂白剤などの薬品を使用して紙を作っています。レコティオでは界面活性剤を少量使用していますが、その他は水しか使用していません」(長田氏)
オフィス内で使用する紙を半永久的にリサイクルし続けられるとしたら、大幅な紙の節約になるだろう。SDGsの観点からも「いい話」のように聞こえるが、疑問も残る。
その疑問とは「水や電気の使用量」だ。古紙を投入してから最初の再生紙が出てくるのが約2時間後。長田氏によると、約1800枚のコピー用紙(一度に投入できる古紙の最大枚数)を投入した場合、レコティオは5時間連続で稼働していることになるという。
大量の水と電気を長時間使用することが環境にいいとはいえないだろう。どのような対策を取っているのか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング