並行在来線会社名「ハピラインふくい」 未来に“福”はやって来るのか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(6/8 ページ)

» 2022年04月02日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 「旅客列車を増便」「貨物列車も通行可能に線路を維持」「将来の大規模修繕に備える」など、収支を考慮すれば運賃値上げは避けられない。普通運賃と定期運賃は1.2倍の値上げ、通学定期は1.05倍の値上げ予定だ。

 ただし初年度から5年間の普通運賃と定期運賃は1.15倍に抑える。利用者にとって負担は大きいけれども、いままでのJR運賃が近隣の交通手段に比較して安かった。黒字化するならもっと値上げしたいけれども、大幅に上げれば利用者は減ってしまう。値上げしても赤字。自治体の負担は増える。

 福井県が21年10月に策定した「福井県並行在来線経営計画」によると、24年の開業から34年までの10年間で、毎年5%の利用者減少を見込んでいる。初年度は新型コロナウイルスの影響、在宅勤務の定着が影響し、その後も沿線人口減の傾向を考慮した。

 10年後には約2万人/日の利用者数が約1万8000人/日まで落ち込む。初年度の赤字は約7億3000万円、10年後の赤字は6億円。11年間の累計では約70億円の赤字だ。福井県と沿線自治体は1対1の比率で経営安定基金を創設し、23年から12年間で拠出する。

現在の利用客水準を維持するため、人口減少による利用者減少を補うレベルの利用促進策が必要となる(出典:福井県並行在来線準備株式会社、福井県並行在来線経営計画

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