この「木の酒」の製品開発を目指しているのが蒸留ベンチャーのエシカル・スピリッツだ。酒粕を再利用したクラフトジンの生産や、廃棄ビールをジンへと生まれ変わらせるプロジェクトを行うなど、酒類業界でのサーキュラーエコノミー(循環型経済)を目指している。
Mixology&Elixir Bar Ben Fiddich (バーベンフィディック、東京都新宿区)のオーナーバーテンダー・鹿山博康氏と共同で、木の酒の製品化・販売を目指すプロジェクト「WoodSpirits(ウッド・スピリッツ)」を2021年から進めている。
商品化に向けた木の酒の第一弾は、埼玉県ときがわ町と連携し、廃棄されるスギ、サクラ、ミズナラ、クロモジの間伐材を使用する予定だ。同社の製造スタッフは森林総研へ出向き、製造ノウハウなどを学んでいる。
現在、千葉県内に新しい蒸留所を建設中で、そこで木の酒の製品化に挑戦するという。小野氏によると、蒸留所は秋ごろに完成する予定で、今年末を目途に第一弾となる商品の発表を目指しているという。商品ラインアップなどはまだ決まっていないが、「ウッド・スピリッツ」というブランドで、さまざまな可能性を模索するという。
「ジンの製造工程で、香り付けの一部としてウッドチップや木の葉を使う方法は、これまでもありました。ただ、木材そのものがお酒になることは世界的に見ても初めての試みですので、今から造るのが楽しみです」(小野氏)
また、小野氏は「日本だけで樹木は700種類以上ありますし、幹や枝の部分でも味が違うかもしれません。ジンのように香りづけを行えばさらに可能性は広がる。まさに、無限のオプションがあります」と期待を寄せる。
同社のクラフトジンのターゲット層は20〜30代が多いが、「木の酒」は樹齢の年数といった付加価値がつくとして、樽で寝かせたウイスキーのように、既存の顧客より上の年代をターゲットとして据える予定だ。
小野氏は「原料にした木材にどのような思いやストーリーがあるのか――といったブランド付けは非常に重要です。マーケティング面ではそこに注力して販売していきます」と語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング