2年以上に長引くコロナ禍の影響は、人々の生活様式を変貌させた。それはビジネスパーソンの働き方もしかり。「働く場所=会社のオフィス」が当たり前だった世界は消え、テレワークが浸透した現代では、オフィスだけでなく自宅、コワーキングスペース、シェアオフィス、カフェに至るまで“働く場”は多様化している。
この連載では、“働く場”の再定義が余儀なくされた現代において会社がどう対応するべきか。先進的な取り組みを行う企業を紹介していく。
スマートフォンゲーム「白猫プロジェクト」などを開発・運営するコロプラは2月、東京都港区のミッドタウン・イースト5〜6階にオフィスを移転した。新オフィスは科学的根拠に基づいた感染対策に特化しつつ、円滑にコミュニケーションがとれる空間を目指したという。
コロナ禍で働き方が変わる中で進めた新オフィスの仕掛けとは? 新オフィスの様子を取材した。
新オフィスのコンセプトは「科学的根拠に基づく最先端の感染症対策特化型オフィス」。同社の経営管理部 森林太郎部長は「全員出社が当たり前の時代は終わったが、ゲーム開発では一定の出社がどうしても必要になる。この二律背反をどのようにオフィスで解決できるか議論した」と振り返る。
同社によると、1本のゲームにかかる開発費用は10億〜20億円。プロデューサーやディレクター、エンジニアなどさまざまな職種が集まって議論を重ねる必要があるという。そのため同社では、以前から「クリエイターが働きやすい」オフィスの構築を進めてきた。
しかし、2020年から続く新型コロナウイルスの感染拡大により働き方は一変。他社と同じく出社率の調整や全体集会の中止などを余儀なくされた。また、在宅勤務者のケアやオンライン会議用の個室設置といった新たな課題が浮上してきたという。
理想とするオフィス環境を構築するために用意した予算は、坪単価40万円の構築費と1億7000万円の感染対策費をあわせた計10億7000万円。具体的な方針として、接触・飛沫・空気感染対策と、コミュニケーション・集中しやすい環境・充実したアイテムの「クリエイターファースト」を融合したオフィスを目指した。
森氏は「従業員に安全安心と思ってもらい、『出社したくなるオフィス』を構築することが何よりも大事だと考えた」とコンセプト決定の背景を説明する。
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