木の酒には、お酒としての楽しめる価値だけでなく、地方創生につながる要素も多分に含まれている。目立った特産品がなく、衰退している中山間地域でも、その地産材を使用して「木の酒」を造れば、新しい名産になるかもしれない。
大塚氏は「木は、1人前になるまでに最低でも60年以上が必要です。そうした“時間”という付加価値をつけるのはもちろん、各地にある木材はその土地特有の個性を持ちます。それがブランドになり、地域活性化につながると考えます」と力を込める。
木材メーカーや、製材所の近くに「木の酒」の蒸留所を建設すれば、今まで廃棄していた端材を、そのまま酒の原料として使用できる。その土地で不要な木材を減らしつつ、雇用の創出にもつながりそうだ。
林業による地域活性化の可能性を秘めた「木の酒」。まずはエシカル・スピリッツが造る第一弾の酒はどのような風味になるのか、注目していきたい。
「木の酒」が普通にバーで飲める未来になれば、木材自体の価値観が変容し、木を見るたびに「これうまそうだな」と思ってしまう人が増えるかもしれない。同社の挑戦にはそのような可能性を秘めているのではないか。
太田祐一(おおた ゆういち/ライター、記者)
1988年生まれ。日本大学芸術学部放送学科で脚本を学んだ後、住宅業界の新聞社に入社。全国の工務店や木材・林業分野を担当し取材・記事執筆を行った。
その後、金属業界の新聞社に転職し、銅スクラップや廃プラリサイクルなどを担当。
2020年5月にフリーランスのライター・記者として独立。現在は、さまざまな媒体で取材・記事執筆を行っている。Twitter:@oota0329
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