――ホリエモンが北海道で仕掛ける「宇宙の民主化」 地方創生のモデルケースとなるかでも、大樹町は射場の場所として多くの利点があるとおっしゃっていましたね。
これまで滑走路をいろいろなところで作ってきましたが、滑走路を作るには、早くても10年、普通は15年くらいかかる大規模な事業です。大樹町では、町有地を利用することを前提としており、土地の買収がないのは大きなメリットです。
北海道では、実は4つも工業高専があって、理系に強みがあると考えています。北海道の中でもチャレンジ精神が旺盛な企業の1つに『釧路製作所』という企業が釧路にあります。同社はもともと石炭産業が旺盛な時代に石炭を運ぶ貨車の製造から始まり、石炭産業が衰退してからは“鉄”の技術を生かして橋梁、タンクを作るビジネスに参入しました。
3年前からは、その次の事業として宇宙産業を推進しています。そこの社員4〜5人と話をしたら、そのうち2人がまさに釧路高専出身だったんです。こうした北海道の高専のDNAを生かしていきたいと思いました。
――宇宙産業特区のようなものを作りたいイメージでしょうか?
そうですね、メリットを分析して、良い形になればいいなと思っています。航空でも宇宙でも、もちろん使用する部品は違いますが、ビジネススキームは基本的に一緒なのです。
札幌と室蘭には、全国に44ほどある航空産業のクラスターの団体のうち2つがありますし、そういう企業の人たちには、これからロケットや人工衛星を作るような仕事に一緒に取り組みませんかと話をし始めています。
――エアアジア・ジャパンのCEOから、ベンチャー企業で挑戦するに至った経緯は?
エアアジア・ジャパンのCEOを退任した後、もともと所属していたANAのグループ会社であるANA総研に入りました。そこでは、ミャンマーに航空会社を作りましょうといったプロジェクトに入ったり、空港を中心とした地域創生にも関わったりしていました。
ただ、どこの町や空港と取り組んでも、観光コンテンツを磨き上げましょう、おいしい食事、ご当地ならではのおいしいものを提供し、そしてそこに温泉があれば、それも楽しんでもらいましょうと観光産業のみなんですよね。でもそのように一本足打法のリスクとして、まさに今回のようにコロナ禍で全然お客さんが来なくなってしまうわけです。
観光産業だけに依存するのは厳しいなっていうのは、ずっと分かっていました。
今回この「北海道スペースポート」の話に参画しないかとお話を伺ったときに、宇宙産業を主軸として挑戦して、そこに観光や教育そして、その他さまざまな航空宇宙関連産業がついてくることが面白いと思いました。今まで日本のどの自治体もできていなかったことができるかもしれないなと思って、この仕事を引き受けました。
そんな私ですが、航空会社にしては珍しく、ずっと東京勤務で、北海道には縁もゆかりもありませんでした。
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