オミクロン株の大流行も収まりきらない中、コロナ保険にも大きな影響が起きている。保険スタートアップのjustInCaseは、2020年5月から提供してきた「コロナ助け合い保険」を感染者数の急増を理由に4月1日に販売を停止した。
さらに、すでに販売した契約中の保険についても、4月7日以降の入院について保険金額を10分の1に変更するという保障内容の変更を行った。「当初の約束を継続できなくなってしまった。お詫びしかない」と、justInCaseの畑加寿也社長は言う。
いったい何が起こったのだろうか。
「コロナ助け合い保険」は1泊2日以上の入院のほか、新型コロナウイルスに掛かった場合、自宅療養でも一時金10万円を保障する保険だ。クレジットカードで決済後、すぐに保障が始まり、保険金も月額1000円を切る(保険の概要)。
2年前となる20年5月から提供しており、「医療従事者、宅配の人、スーパーの人。感染のリスクがある中、社会を回すことに従事している人たちに、保険会社として何ができるか。そう考えて、1カ月で商品化した」(畑氏)というのが、そもそものコンセプトだ。
保険の基本である大数の法則が働かない中、徐々に契約者も増え、保険としての状況が次第に見えてきた。デルタ株の流行時は、受け取る保険料よりも支払う保険金のほうが多くなる月もあったが、比較的状況は安定していた。
ところがオミクロン株の流行で、状況が一変する。契約者数が一気に増えて6万人規模となり、同時に支払保険金も4000万円へと急増した。さらに3月は保険金が爆発的に増加。保険料が3000万円程度なのに対し、支払い保険金は1億8000万円にまで達することが3月末時点で分かった。
「4月も放っておくと、ほぼ同じ金額が来る」(畑氏)という危機感から、3月末をもって販売停止を決めた。さらに、既に保険に加入している人への保障内容も変更する決断をした。保険金を10分の1に変更するが、実際の入院については10分の9をお見舞い金として支払う形を取る。つまり、コロナに罹ったが自宅療養だったという場合のみ、支払う保険金を10分の1に変更するということだ。
見なし入院でも保険金を支払うというのは、コロナ保険ならでは。かつ約款でも、同社の財務状況が著しく悪化した場合は変更が可能だと記載してある。とはいえ、いったん結んだ保険契約の保障内容を後から変えるというのは本来あってはならないことだ。
いくらオミクロン株が想定以上に流行したとはいえ、どうして保険を継続できないほどに支払い保険金が増えてしまったのだろうか。
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