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法改正でもまだまだ道半ば? 男性育休促進を阻む「エセ女性活躍推進」の正体アンコンシャス・バイアスにご用心(2/4 ページ)

» 2022年04月08日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]

 総務省の「平成28年社会生活基本調査」では、1日のうち、家事と育児に割く時間の平均が公開されています。データを見ると、合計で男性が47分(家事40分+育児7分)、女性が3時間22分(家事2時間57分+育児25分)と、差は歴然です。家事育児は女性が行って当然――という認識になっている家庭が世の中に多ければ、育休の取得者は女性に偏ることになります。

 以上が、女性と男性の間に顕著な育休取得率の差が生まれる、私生活面の理由です。続いて、職場環境面の理由について見てみます。

職場環境から見る男女格差

 かつて、男性は総合職、女性は一般職というように、採用時点でコースが分かれていました。その名残が今もあり、同じ総合職なのに女性には負担の軽い仕事が当てがわれたり、中心的なポストを与えなかったりといった傾向の会社はたくさん存在します。

 そのような会社で女性が担当するのは、替えが利きやすく、休んだり退職したりしても他社員が比較的容易にカバーできる職務です。そのため会社にとっては、育休も女性社員に取得してもらった方が対処しやすいということになります。

画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ

 また、育休から復帰した後のキャリアも、女性の育休取得率が高いことに大きく影響しています。

 復帰後は、育休取得前に就いていたポジションと同等の職務ではなく、サポート的なポジションに回されがちです。そして、いったんそのルートに乗ると、出世コースやキャリアをステップアップさせる機会から外れてしまいます。俗に「マミートラック」と呼ばれるものです。つまり、育休取得を機に女性を会社の中心的役割から外れるルートに乗せることで、他社員でカバーしやすい体制を構築し、女性が子育てに伴う急な休みを取ったり、育休を再取得したりというケースに対応しやすくしているのです。

 最後に、“女性”だけに偏って配慮するスタンスの会社があることも挙げられます。

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