会社の倒産は減っているのに、なぜ労働者は“幸せ”そうに見えないのかスピン経済の歩き方(7/7 ページ)

» 2022年04月12日 09時50分 公開
[窪田順生ITmedia]
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中小企業の新陳代謝

 「中小企業が元気になれば日本は元気」ということがよく言われるようになって久しいが、日本経済の現実を見れば、「元気な中小企業」は少なくない。補助金や低賃金でなんとか生きながらえられている、いわば「寝たきり」の中小企業が多いのだ。

 そう言うと「弱い企業は死ねと言うことか!」とヒステリックに怒る人も多いが、「法人」の場合は人の死と違って、潰れたとしても、経営者がその特権的な立場を失うだけの話だ。従業員は他の元気な企業に転職すればいい。冒頭で申し上げたように、日本は深刻な「人手不足」なので仕事はいくらでもある。

 これまで日本は「中小企業の延命」を国家戦略にしてきて、今もほとんど変わっていない。これ以上、労働者を不幸にしないためにも、いい加減そろそろ「中小企業の新陳代謝」へと大きくかじを切るべきではないか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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