日銀はデジタル通貨をどう考えているのか? 実証実験フェーズ2開始のCBDC金融ディスラプション(1/2 ページ)

» 2022年04月13日 16時25分 公開
[斎藤健二ITmedia]
(写真提供:ゲッティイメージズ)

 日本銀行は4月13日に「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」の第3回会合を開催した。中央銀行発行のデジタル円、いわゆるCBDCは、概念実証のフェーズ1を終了し、4月からはフェーズ2に移行する。第3回会合では、今後の進め方などについて民間事業者や政府との情報共有および意見交換を行った。

 このように実証実験が進む中、日銀はデジタル通貨をどう考えているのか。日銀の内田眞一理事は「CBDCを発行するとすれば」と題した開会あいさつで、現時点でのデジタル通貨との向き合い方を話した。

日銀が進めるCBDC実証実験の流れ

民間デジタル通貨とどう向き合うか

 直近の大きな変化といえば、民間が発行するデジタル通貨の急伸だ。2020年秋にCBDCの方針を発表してからの1年半で、法定通貨と価値が連動する民間デジタル通貨、いわゆるステーブルコインの存在感が増した。

 「民間のステーブルコインは、海外を中心に存在感を着実に高めてきており、その残高は、日本円換算で10兆円を優に上回る規模」だと内田氏。当初は、中国のデジタル元やフェイスブック(現メタ)のLibraが念頭に置かれることが多かったCBDCだが、直近は民間ステーブルコインとどう向き合うかが重要な観点になってきている。

 内田氏は、民間ステーブルコインにおいては、マネーロンダリングやサイバーリスク、消費者や投資家保護、金融システムの安定への影響など、さまざまな課題を挙げた。これらの解決策として、米国は発行を「預金取扱機関」、つまり銀行に限定する方向だが、ユーロや日本では、ノンバンクによる発行も認める方針だ。

 国内では、デジタル通貨フォーラムを通じて、銀行預金を裏付けとしたステーブルコインDCJPYをメガバンクなどが発行する計画が進んでいる(記事参照)。一方で、前払式支払手段、いわゆる電子マネーという法的な建て付けで、スタートアップJPYC社などがステーブルコインを発行、発行総額は3億円超など規模を増やしている状況だ(記事参照)。

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