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“男性も育休を取得しやすい職場”の作り方 法改正の整理から研修のポイントまで何から始めればいい?(3/4 ページ)

» 2022年04月20日 07時00分 公開
[企業実務]

【2】出生時育児休業(通称:産後パパ育休)への対応

 出生時育児休業は今回の改正の目玉であり、子の出生後8週以内に4週間まで取得することができる柔軟な育児休業の枠組みです。

 現行の育児休業と比べて、(1)申出期限が原則休業の2週間前まで、(2)新制度のなかで分割して2回取得することが可能、(3)労使協定を締結している場合に限り、労働者と事業主が合意した範囲内で、事前に調整したうえで休業中に就業することが可能、という特徴があります。

 現行のいわゆる「パパ休暇」は、今回の改正で廃止され、出生時育児休業と、育児休業の分割取得化に見直されることになります。

 申出期限については、雇用環境の整備などについて、改正で義務付けられている内容を上回る取組みの実施を労使協定で定めている場合は、1カ月前までとすることができます。

 企業は申し出た従業員の業務や人員体制を整える必要があり、一定程度の時間的余裕があることが望ましく、労使協定の締結を視野に準備を進めるとよいでしょう。

 労使協定の締結に必要な雇用環境の整備などの措置には、研修の実施や相談体制の整備など法律上の義務と重なる措置が含まれます。

 義務措置では、研修、相談体制の整備、事例の収集、方針の周知のうち複数の措置を講じることが望ましいとされていますが、労使協定締結の際には、業務の配分または人員の配置を含めて5つの措置のなかから2以上の措置を講ずることが必要です。このため、法律上の義務である雇用環境整備の準備段階で、2以上の措置を検討しておくとよいでしょう。

 また、申出期限を1カ月前までとする労使協定の要件には、育児休業取得の定量的な目標と法律上の義務である意向確認の措置を講じたうえで、その意向を把握するための取組みが必要です。

 「定量的な目標」は「数値目標」を意味し、法に基づく育児休業の取得率のほか、企業における独自の育児目的の休暇制度を含めた取得率などを設定することなども可能とされています。

 少なくとも男性の取得状況に関する目標を設定することが必要ですので、男性の育児休業取得者が1人もいないという企業は改正を契機に達成可能な目標を設定し、男性の育児休業取得を推進するきっかけとすることが必要です。

 意向を把握するための取組みは、法律上の義務を上回る取組みとすることが必要であり、最初の意向確認のための措置の後に、返事がないような場合は、リマインドを少なくとも1回は行うことが必要です。

 男性が育児休業をためらう理由として、「収入を減らしたくない」という声が多数あります。研修と相談窓口の設置は、企業の規模を問わず取り組みやすい措置です。研修などを通じて、育児休業中の収入補填である育児休業給付や社会保険料の免除制度の説明、育児休業中の就業制度についても説明しましょう。

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