――コンビニのレジ後ろにはたばこの棚があります。販売に適した良い場所は、ライバル企業との競争になると思います。どのようにしていい棚の列を獲得しているのですか?
各たばこ会社には独自の戦略があると思いますが、いい場所を得るための厳しい競争はもちろんあります。コンビニ側には「いつ、どんな商品を発売するのか? どんなディスプレイにするのか?」といったことを伝え、密に連携を取るようにしています。
なぜなら、新しく商品を販売しても消費者に伝わらなければ、私たちもコンビニ側も困るからです。また、コンビニ側にも独自の戦略がありますし、「こうしたほうがいいのではないか?」という意見も上がってきます。そういうことに耳を傾け、共同のコラボレーション・ワークをしていく感覚です。
さらにコンビニ側には「これだけ売り上げを伸ばせます」など具体的な話をすることも大事になってきます。紙巻たばことは違い、IQOSというデバイス自体を販売できるので新しい収益源になりますし、IQOSを体験する場にもなっています。
日本で新商品や限定商品を販売する際、「できるだけ早く見てみたい、試したい」という人が多いので、結果的にコンビニへの来店者増加につながる利点もあります。こういったことができるのは、深いパートナーシップを結べているからだと考えています。
――紙巻からの移行のほかにも、他社のグロー、プルームテックから乗り換えてもらう努力もしているのですか?
日本の市場は大きいですし、この加熱式たばこは、市場全体の30%しか占めていません。だから他社製品のユーザーに「IQOSにスイッチしてください」と言うだけの余地はあると思っています。
加えて50代以上の人においては「喫煙を続ける意思があるのであれば加熱式たばこという選択肢もありますよ」などとしっかりと情報を提示して、啓もう活動をする必要もあるでしょう。
政府や自治体との協力関係も大事で、白川郷のようなユネスコの世界遺産の場所で、加熱式たばこ専用室を整備することによって火災リスクを下げる取り組みもしています。22年1月の時点でそのような「煙のないランドマーク」は全国で19カ所ありますし、国や各自治体の基準を満たした加熱式たばこ専用室について、これを導入した飲食関連施設は全国で2700件に上ります。
このように紙巻たばこの有害性を伝えつつ、加熱式たばこに移行すると「こういったメリットがある」と訴求することが大事だと思っています。
――日本法人を率いるリーダーとして、仕事をする上でのポリシーや大事にしていることはありますか?
成果を出し続けるためには強いチームを作らなければいけませんから、まずベストな人材を採用する必要があります。そして高い志を設定してみんなで向かっていくようにしています。
そのためにはどうするか。私は社員1人ひとりが自分で考えて行動できる組織にしたいと考えています。会社の資産とは、多様なスキルやアイデアを持った人たちが、インクルーシブな企業文化のなかで働けるかどうかだと思います。
また、私自身が日本のことを把握しきれているわけではないからこそ、人の意見を聞き、リスペクトするように心掛けています。いろいろな国・地域で学んできたことがありますが、まっさらにして学び直す姿勢を持つようにしています。
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