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V・ファーレン長崎社長からJリーグ理事に ジャパネットたかた創業者の長女が語るJリーグの可能性ナガサキから、世界へ(3/4 ページ)

» 2022年04月26日 07時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

コロナ禍でもグループ以外のスポンサー収入は増

 では、V・ファーレン長崎の経営が順調かといえば、決してそうではない。地方のクラブが厳しい経営環境に置かれているのは、Jリーグ全体の課題でもある。V・ファーレン長崎の場合は、J1昇格を目標に掲げて強化費も投入しているが、親会社のジャパネットホールディングスからの支援で成り立っているともいえる。

 高田氏は社長に就任した20年度から、V・ファーレン長崎の決算の出し方を変えた。それまではジャパネットホールディングスからの支援をスポンサー収入に計上することで、18年度は1300万円、19年度は1000万円の営業利益を出し、純利益も黒字だった。それが20年度からは支援分を除外し、10億5000万円の営業損失を計上。支援分は特別利益として計上して、純損失は1億4900万円となった。決算の変更の意図を、高田氏は次のように明かす。

 「Jリーグのクラブライセンス交付規則では、以前は3年連続で赤字が続くとライセンスが剥奪されていましたが、コロナ禍の特別措置で2023年度末まで緩和されました。この機会に、現状をリアルに公開した方がいいと判断して、会計処理を変更しました。

 一気に10億円の赤字になった形ですが、もともとそういう経営状態でした。危機感を持って経営しなければと思い、あえて公開した形です」

 コロナ禍で入場料収入が減少したのは、どのクラブも同じだ。一方でV・ファーレン長崎の場合、むしろコロナ禍でプラスになった部分もある。それはジャパネットグループ以外からのスポンサー料だ。

 スポンサー収入は19年度が15億5700万円に対し、20年度は11億8200万円。3億7500万円減少したかに見える。ジャパネットグループの支援を除くと、19年度は約11億2000万円。20年度はジャパネットグループ以外からのスポンサー収入が、約6000万円増えたことになる。

 「スポーツの予算は最初に削減されやすいので、コロナ禍でスポンサーの皆さんが離れていくのではないかと危機感を持っていました。スポンサー継続のお願いをしていくなかで、止める判断をされる企業は少なかったので、本当にありがたかったですね。それだけ大事に思ってくださっているスポンサーさんが多いのだと思います。

 また、ジャパネットグループの通販事業は、コロナ禍でもプラスになった業態です。ジャパネットの取引先さまのスポンサー企業も多いので、コロナ禍にビジネスの関係性が継続できたことも大きかったと思います」

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