クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

マツダの世界戦略車 CX-60全方位分析(2)池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/3 ページ)

» 2022年04月26日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 先に述べたように、開発のスコープにはBEVも含まれているし、その他にも長期的発展性を見込んだ仕掛けが含まれている。そもそもディーゼルは燃料の雑食性が高い。すでに実験車両が完成しているバイオディーゼルはスタンバイ状態にあるし、ガソリンと置き換えるe-fuelにもいける。資料にしれっと書いてあるがFCEVも視野に入っている。これがトヨタのシステムなのか独自のものかはまだ何ともいえない。ラージではないがマツダ全体の話でいえば、スモール用のロータリーでは水素燃焼の内燃も可能だ。

 マルチソリューションという話をするといつも訊ねられるのだ。「トヨタは全方位で開発が可能かもしれないが、マツダやスバルには不可能だろう?」と。筆者がこれまで幾度となく書いて来たように、マツダもスバルもxEV計画をずっとアナウンスしてきた。その成果が今回のラージ群のパワートレインであり、スモールのロータリー発電システムである。

 エネルギーも原材料も、インフラの進歩も、さらには国際情勢も不透明な中で、確実に生き残っていこうと思ったら、単勝レースには賭けられない。情勢が如何様(いかよう)に変化しようとも柔軟に対応できるソリューションを用意しておかなければ、丁半博打になってしまう。

 トヨタのように全方位力押しでいかれるなら数の力で押しまくれば良いが、マツダやスバルは、順列組み合わせで発展性を織り込んだシステムにしておかないと、予想が外れた時に目も当てられない。だから彼らは知恵を絞ってxEV計画を推し進めてきたのである。

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