先に述べたように、開発のスコープにはBEVも含まれているし、その他にも長期的発展性を見込んだ仕掛けが含まれている。そもそもディーゼルは燃料の雑食性が高い。すでに実験車両が完成しているバイオディーゼルはスタンバイ状態にあるし、ガソリンと置き換えるe-fuelにもいける。資料にしれっと書いてあるがFCEVも視野に入っている。これがトヨタのシステムなのか独自のものかはまだ何ともいえない。ラージではないがマツダ全体の話でいえば、スモール用のロータリーでは水素燃焼の内燃も可能だ。
マルチソリューションという話をするといつも訊ねられるのだ。「トヨタは全方位で開発が可能かもしれないが、マツダやスバルには不可能だろう?」と。筆者がこれまで幾度となく書いて来たように、マツダもスバルもxEV計画をずっとアナウンスしてきた。その成果が今回のラージ群のパワートレインであり、スモールのロータリー発電システムである。
エネルギーも原材料も、インフラの進歩も、さらには国際情勢も不透明な中で、確実に生き残っていこうと思ったら、単勝レースには賭けられない。情勢が如何様(いかよう)に変化しようとも柔軟に対応できるソリューションを用意しておかなければ、丁半博打になってしまう。
トヨタのように全方位力押しでいかれるなら数の力で押しまくれば良いが、マツダやスバルは、順列組み合わせで発展性を織り込んだシステムにしておかないと、予想が外れた時に目も当てられない。だから彼らは知恵を絞ってxEV計画を推し進めてきたのである。
- マツダの世界戦略車 CX-60全方位分析(1)
前回の予告通り、今回からはCX-60の詳細な解説に入っていく。まずはマツダはなぜラージプラットフォームを開発したのか。その狙いはどこにあるのかが最初のテーマである。
- マツダのラージPF、CX-60プロトタイプに乗る
長らく話題になってきたマツダのラージプラットフォームの頭出しとして、CX-60が発表になった。さらに、それに先駆けて、山口県美祢のマツダのテストコースで、プロトタイプモデルの試乗会が行われた。諸般の都合で、大事なことをいろいろ置き去りにしつつ、まずはインプレッションから書き始めなければならない。
- 電動化とラージPFを両立する、マツダ新工場の「縦スイングと横スイング」
「xEV計画」と直6縦置きのラージプラットフォーム。これを進めていくためには、当然生産設備を大幅に改変しなくてはならない。普通ならば、従来設備を適宜改良して、xEVとラージに対応させるだけでいいのだが、マツダはこれを大きなチャンスに変えようと考えた。
- 為替は「北米に工場を造っても、ほとんど変わらない」 マツダ藤原副社長インタビュー(2)
マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカットかつ連続でおとどけしよう。その第2回だ。
- 藤原副社長、マツダが売れなくなったって本当ですか?
ここ最近のマツダには、聞いてみたいことがたくさんある。あれだけ出来の良いクルマを作りながら販売台数がなんで落ちるのか? MAZDA3とCX-30を批判している人は、まず乗ってみたのか聞きたい。あれに乗って、それでも高すぎると本当に思うのだろうか?全てを知り、なおかつ一番本当のことをズバリしゃべってくれそうな藤原清志副社長がインタビューに応じてくれることになったのである。第7世代は売れてないのか? を解説しつつ、真実を見ていく。
- EV生産比率を5倍に増やすマツダと政府の“パワハラ”
マツダは、30年時点のEVの生産比率を25%と大幅に上方修正した。ではなぜマツダはそれだけEVの比率を大きく再発表したのかといえば、これは政府によるパワハラの疑いが濃厚である。
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