クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

マツダの世界戦略車 CX-60全方位分析(2)池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/3 ページ)

» 2022年04月26日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 さて、前回はCX-60を題材にマツダのラージプラットフォーム戦略の内、6気筒FRというレイアウトの狙いと、多種多様に及ぶ車種群をどうやってフレキシブルかつ、効率的に生産するのかについて解説した。

 今回はそのシステムの発展性について解説するところから始めよう。

ラージプラットフォーム第1弾となるマツダCX−60

複数の動力源を組み込むマツダ流の仕組み

 ラージプラットフォームは、ざっくり言えば内燃機関と、モーター、ジェネレーター、コントロールユニット、バッテリーの順列組み合わせからなるシステムだ。内燃機関の部分はすでに述べたように4気筒と6気筒のガソリンユニット、6気筒のディーゼルユニットが存在する。もしかすると4気筒のディーゼルもあるかもしれないが、これについてはマツダはまだ何も話してくれない。

 モーターは、PHV用の175psのモーターと、マイルドハイブリッド用の48ボルト17psモーターが用意される。組み合わされるバッテリーはそれぞれ17.8kWと0.33kWとなる。これだけ聞くと「マイルドハイブリッドに意味があるのか?」という疑義を覚えるだろうが、彼らは3.3リッター直6ディーゼルユニットを前に「これがどのくらいの燃費だったら合格だと思いますか?」と筆者に尋ねた。

 すでにテストコースでの試乗を終えて、その望外なパワフルさをしっかり味わった後だったので、筆者は少し考えて「実燃費でリッター20キロを超えれば文句無い」と答えた。マツダのパワートレイン担当者はニヤッと笑って「多分ご期待にお応えできると思います」と言った。まあ乗り方とコースにもよるのだろうが、これだけの大排気量かつパワフルなユニットで20キロのラインが射程にはいるのならば、それは素晴らしい。

 さて、要するにこのラージのパワトレは、いってみればある種のコンポーネントシステムであり、要素をさまざまに組み合わせて、多種多様なバリエーションを作れるところがミソだ。

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