さて、前回はCX-60を題材にマツダのラージプラットフォーム戦略の内、6気筒FRというレイアウトの狙いと、多種多様に及ぶ車種群をどうやってフレキシブルかつ、効率的に生産するのかについて解説した。
今回はそのシステムの発展性について解説するところから始めよう。
ラージプラットフォーム第1弾となるマツダCX−60
ラージプラットフォームは、ざっくり言えば内燃機関と、モーター、ジェネレーター、コントロールユニット、バッテリーの順列組み合わせからなるシステムだ。内燃機関の部分はすでに述べたように4気筒と6気筒のガソリンユニット、6気筒のディーゼルユニットが存在する。もしかすると4気筒のディーゼルもあるかもしれないが、これについてはマツダはまだ何も話してくれない。
モーターは、PHV用の175psのモーターと、マイルドハイブリッド用の48ボルト17psモーターが用意される。組み合わされるバッテリーはそれぞれ17.8kWと0.33kWとなる。これだけ聞くと「マイルドハイブリッドに意味があるのか?」という疑義を覚えるだろうが、彼らは3.3リッター直6ディーゼルユニットを前に「これがどのくらいの燃費だったら合格だと思いますか?」と筆者に尋ねた。
すでにテストコースでの試乗を終えて、その望外なパワフルさをしっかり味わった後だったので、筆者は少し考えて「実燃費でリッター20キロを超えれば文句無い」と答えた。マツダのパワートレイン担当者はニヤッと笑って「多分ご期待にお応えできると思います」と言った。まあ乗り方とコースにもよるのだろうが、これだけの大排気量かつパワフルなユニットで20キロのラインが射程にはいるのならば、それは素晴らしい。
さて、要するにこのラージのパワトレは、いってみればある種のコンポーネントシステムであり、要素をさまざまに組み合わせて、多種多様なバリエーションを作れるところがミソだ。
マツダの世界戦略車 CX-60全方位分析(1)
前回の予告通り、今回からはCX-60の詳細な解説に入っていく。まずはマツダはなぜラージプラットフォームを開発したのか。その狙いはどこにあるのかが最初のテーマである。
マツダのラージPF、CX-60プロトタイプに乗る
長らく話題になってきたマツダのラージプラットフォームの頭出しとして、CX-60が発表になった。さらに、それに先駆けて、山口県美祢のマツダのテストコースで、プロトタイプモデルの試乗会が行われた。諸般の都合で、大事なことをいろいろ置き去りにしつつ、まずはインプレッションから書き始めなければならない。
電動化とラージPFを両立する、マツダ新工場の「縦スイングと横スイング」
「xEV計画」と直6縦置きのラージプラットフォーム。これを進めていくためには、当然生産設備を大幅に改変しなくてはならない。普通ならば、従来設備を適宜改良して、xEVとラージに対応させるだけでいいのだが、マツダはこれを大きなチャンスに変えようと考えた。
為替は「北米に工場を造っても、ほとんど変わらない」 マツダ藤原副社長インタビュー(2)
マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカットかつ連続でおとどけしよう。その第2回だ。
藤原副社長、マツダが売れなくなったって本当ですか?
ここ最近のマツダには、聞いてみたいことがたくさんある。あれだけ出来の良いクルマを作りながら販売台数がなんで落ちるのか? MAZDA3とCX-30を批判している人は、まず乗ってみたのか聞きたい。あれに乗って、それでも高すぎると本当に思うのだろうか?全てを知り、なおかつ一番本当のことをズバリしゃべってくれそうな藤原清志副社長がインタビューに応じてくれることになったのである。第7世代は売れてないのか? を解説しつつ、真実を見ていく。
EV生産比率を5倍に増やすマツダと政府の“パワハラ”
マツダは、30年時点のEVの生産比率を25%と大幅に上方修正した。ではなぜマツダはそれだけEVの比率を大きく再発表したのかといえば、これは政府によるパワハラの疑いが濃厚である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.