サヌのキャビンの特徴として、CO2の排出量よりも吸収するCO2の量が上回る「カーボンネガティブ」を達成していることが挙げられる。これは、「自然への負荷が高い旧来の観光開発を抜本的に改革する」という同社の建築指針に則っている。
キャビンには、高齢化する日本の森の木を100%使用。風を止めない高床式建築と伐採する木を最小限にした開発のほか、断熱性能を最高レベルのG2まで高め、使用するエネルギーは100%再生可能エネルギーとしている。
ホテル用や旅館用の木造建築は法定耐用年数が17年で、鉄筋コンクリートの31年と比較して寿命が短いとされている。しかし、サヌのキャビンはメンテナンスしやすい工法のため、50年ほど維持できるそうだ。
「サヌは建築物をパーツごとにシステム管理して、部品をあらかじめ工場で製作し、現場で組み立てるプレファブリケーション工法を採用しています。加えて、極力釘を使わず引っ掛けるなどして組み立てています。そのため、部分的に状態が悪化しても、パーツごとに簡単に交換できます」(福島氏)
キャビンの開発にあたっては、環境に配慮した建築において先進性を持つデンマーク企業のヘンリックイノベーションと手を組んだ。「このコラボレーションによって、どれくらい環境に配慮しているのかを数値化できたことで、投資家からの支持が得られた」と福島氏はいう。
「デンマークの環境建築専門家の手を借りて、サービス運営にかかる一連の環境負荷を解析しました。一般の建築では1棟10トンのCO2を排出しているところ、サヌのキャビンはCO2の排出量よりも吸収量が11トン多いという結果に。サヌが広がるほど自然が豊かになると証明できたことは、投資を促す際に非常に役立ちました」(福島氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング