海外進出を目指す企業や、国外の高度人材を必要とする企業にとって、海外での人材雇用はこれまで大きな障壁となっていた。
国ごとに異なる法律やコンプライアンスに対応した雇用契約を結び、現地通貨建てで給与支払いをするためには、金銭的、時間的なコストが大きくのしかかる。
こうした手間のかかる一連の労務管理を、1つのプラットフォーム上で完結させるスタートアップが現れた。グローバル人材の労務管理SaaSを提供する米国発のディール(Deel)だ。
同社は先日、創業からわずか20カ月でARR100ミリオンドル(約130億円)に到達したことをSNSで公表し、SaaS史上に過去に類を見ないスピードで成長していることが話題となった。2021年12月には日本進出を果たし、注目を集めつつある。
「リモートワークの浸透に伴い、グローバル人材を活用したいという企業のニーズが一層顕在化したことが、ディールの成長を後押ししています」と話すのは、ディールジャパンのカントリーマネージャーを務める中島隆行氏だ。
ディールの登場が世界的な人材市場にどのような変化をもたらすのか。SaaS企業分析特化型コンテンツを運営する「企業データが使えるノート」のアナリストが中島氏に取材を行い、急成長の実態に迫った。
ディールカントリーマネージャー中島隆行氏 | 外資系ITベンダーであるサン、オラクル、、シマンテックなどで約15年、営業、事業開発を歴任。その後日系VCであるジャフコでは米国投資先の事業開発を担当。その後投資先を含む複数のスタートアップにてカントリーマネージャー。直近ではイスラエルのスタートアップを軸にした日本企業のイノベーション支援や、日本の発酵文化の推進プロジェクトなどに携わり、2021年8月よりディールのカントリーマネージャーに就任。
- 【バーティカルSaaS】 調剤薬局のDX化を進めるカケハシ 成長スピード1年で3倍の3つの要因
調剤薬局のDX化を猛烈に推し進めるスタートアップがある。薬歴システム「Musubi」を提供するバーティカルSaaS企業、カケハシだ。導入した薬局から熱烈な支持を受け「1年で3倍の売上成長」というスピードで躍進を遂げるカケハシの戦略はどのようなものだろうか。
- 三菱商事発のMCデータプラス、知られざる“ユニコーン級"バーティカルSaaS企業とは
急成長を遂げるSaaS領域において、日々多くのニュースを目にするようになった。freee、Sansanといった上場企業の台頭だけでなく、SmartHRをはじめとする未上場フェーズの企業においても大型資金調達が報じられるなど新興企業の台頭が著しい。その中で異質な"商社発"のバーティカルSaaS企業が存在する。建設現場の労務安全書類作成・管理クラウドサービス「グリーンサイト」を提供するMCデータプラスだ。
- 【解説】バーティカルSaaS 国内でも盛り上がりの兆し
最近、注目を集めている“バーティカルSaaS"という言葉を聞いたことがあるだろうか。業界を問わず利用されるクラウド型のシステムは、部署や部門の課題を水平的にカバーすることから“ホリゾンタルSaaS"と呼ばれている。一方「建設」や「不動産」など、特定の業界に根付いた課題を解決するシステムは、垂直を意味する“バーティカルSaaS"と呼ばれ、徐々に認知が広まってきている。
- 【決算発表】コロナ禍で成長率鈍化も、「名刺の次」で見据えるSansanの成長ストーリー
クラウド名刺管理サービスを提供するSansanは7月14日、2021年5月期通期の決算を発表した。新型コロナウイルスの影響を受けながらも粘り強く成長を続けた名刺交換サービス「Sansan」の実績と、クラウド請求書受領サービス「Bill One」の順調な立ち上がりが見られた。
- SaaS企業の時価総額はなぜ高いのか?
この数年、SaaS企業は新興企業向け株式市場マザーズのIPOにおいて大きな存在感を見せています。新興市場のけん引役ともいえるほど躍進をしたSaaS企業ですが、果たしてこの勢いは、21年以降も続いていくのでしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.