海賊版漫画サイトの筆頭となっていた「漫画村」。『週刊少年ジャンプ』『マガジン』『サンデー』『チャンピオン』をはじめとした漫画雑誌の最新号が、発売前にタダで読めた違法サイトだ。2017年ごろから話題を集め、18年に入ると政府が本格的な対応を開始。同年4月に閉鎖された。
この動きには、2月に日本漫画家協会が声明を発表し、いち早く国会を動かした背景がある。この漫画家サイドで中心的な動きを果たしたのが、同協会で常務理事を務める漫画家の赤松健さん(53)だ。赤松さんは『ラブひな』『魔法先生ネギま!』などの代表作で知られる。連載した漫画作品の多くがテレビアニメ化もされている人気作家だ。自著のコミックス発行部数は全世界で累計5000万部を超える。
そんな赤松さんは、3月に東京・秋葉原に事務所を開設し、自身のプロフィール展を開いている。事務所では、アーカイビングの重要性を伝えるために赤松さんの描いた漫画原画を展示するほか、クリエイター自身が声を上げコンテンツ産業を守り育てるという赤松さんの取り組みを伝えている。
「漫画村」閉鎖以後も、海賊版サイトが完全になくなったわけではない。「漫画村」以後の漫画海賊版ビジネスの現状や、電子化に代表される漫画業界の課題を聞いた。
赤松健(あかまつ けん) 漫画家、株式会社Jコミックテラス取締役会長、公益社団法人日本漫画家協会常務理事、表現の自由を守る会最高顧問。1968年、愛知県生まれ。私立海城高等学校から中央大学文学部国文科へ進学。代表作に『ラブひな』『魔法先生ネギま!』など。2011年より、絶版となった漫画などを電子書籍として配信するサイト「Jコミ(現マンガ図書館Z)」の運営をスタート――漫画の海賊版ビジネスの現状について教えてください。
違法アップロードされた漫画データを扱ったサイトとして、「リーチサイト」というものがあります。このリーチサイト自体には違法データ自体はなくて、違法データのアップロード先のURLがそこにずらーっと並んでいるわけなんですね。
このリーチサイト自体には海賊版のデータはないわけですから、それまでは著作権者側は、法的には手も足も出せなかったんですよ。こうした状態が10年ぐらい続いていて、特に出版社は悔しがっていました。ところがこのリーチサイトへの規制が令和2年(2020年)の10月に、著作権法改正によって違法サイト化されました。
このように、今の段階で法律でコントロールできそうなところはすでに対応しています。
――このリーチサイトは、どういう収益構造となっていたのでしょうか。
リーチサイト自体の広告収益もありますが、一番大きいのは、実は有料プレミアム会員の会費です。違法データが格納されている先のサイトの収益ですね。違法データは「サイバーロッカー」と呼ばれるストレージサービスにアップロードされているのですが、これは普段われわれが使うようなストレージサービスとは違うサイトになっています。
そこは無料会員でもデータをダウンロードできるのですが、低速のため一度に1ファイルしか落とせなかったり、大容量のものはダウンロードできなかったりします。そこで、有料のプレミアム会員になれば、高速で一度に複数のファイルをダウンロードできるようになるというビジネスモデルですね。これだけで億単位の利益をあげている状態にありました。
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