本記事は、筆者のnote「人的資本経営とタレントマネジメント(その2) 〜「人的資本経営」で人事部に期待されるものは何か〜」をITmedia ビジネスオンライン編集部で一部加筆・編集の上、転載したものです。
最近注目の「人的資本経営」。「米国など海外で盛り上がっているもの」という認識で止まっている方もいるかもしれませんが、日本でも2021年6月に金融庁と東京証券取引所が共同で策定するコーポレートガバナンスコードが改訂された際、人的資本に関する記載が盛り込まれるなど、対応する動きが確実に進んでいます。
人的資本経営を進める上で、人事部に期待されるものは何でしょうか。まずは、人事部の役割や機能を変えていくことだと考えられます。
経産省が進める「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」が20年9月に発表した人材版伊藤レポートでは、人的資本経営を実現するためには、経営戦略と連動した人事戦略の策定と実行が重要であると解説されています。
この観点で日本企業の現状を確認してみましょう。まず、経営戦略と人事戦略の連動性です。
図1は「人材マネジメントにおける課題」を人事部門の管理職が回答したものです。最も多く挙げられた課題が「人事戦略と経営戦略が紐づいていない」で、3割以上の人事部に課題感がある様子が見て取れます。
さらに、人事部の経営戦略への関与度合いと経営戦略を実現する機能を有しているかを確認すると、関与度が低いだけでなく、「人事部は戦略を実現する機能を持っていない」と感じている人が過半数以上いるという深刻な状況です(図2)。
そもそも、日本の企業は経営戦略の実現に必要な人材を確保(採用・配置・育成)できていないと感じている人が6割以上いるというデータもあります(図3)。経営戦略と連動した人事戦略を策定し実行していくためには、人事部としても戦略人事を担当できる人材を育成もしくは外部から採用して確保することや、戦略人事の策定・実行を支援するタレントマネジメント等情報システムの整備と有効活用が喫緊の課題になりそうです。
経営戦略と連動した人事戦略を策定・実行できる体制を整え、従来よりもパワーアップした人事部を認知してもらい社内の信頼を得ることが、まず現在の人事部に求められることだといえるでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング