もうひとつ、人事部としては人的資本関連の情報を分析し人事施策の立案・改善に活用したり、社外に開示するための情報を関連部門に提供することが求められるようになります。
では、企業としてどのような情報を収集し、分析・開示する必要があるのでしょうか。20年に上場企業への人的資本情報の開示を義務化した米国の例を見てみましょう。
米国では現在、「人材投資の開示に関する法律」であるWorkforce Investment Disclosure Actが、上院で審議中です。この法律では下記8つの項目での開示を義務付けています。
ただし、現時点ではこれ以上の詳細部分は未確定のようです。そのため「本法案の各項目の開示基準の策定はSECが行うが、法律制定後2年以内に策定が完了しない場合、開示基準としてISO30414が適用される」(※1)と追記されています。
(※1)経産省第4回人的資本経営の実現にむけての検討会事務局説明資料より
つまり現時点では、ISO30414をベースに分析・開示の準備をするのが良いということになります。
一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアムの「“ヒューマンキャピタルレポーティング”の新たなグローバルメガトレンドISO 30414 -HR領域初の国際標準ガイドラインがもたらす未来予測-」では、ISO30414で求められる情報の概要を確認できます。開示すべき情報が大きく11領域で指定されていますが、今回はそのうちイメージしやすい3領域の情報を確認してみましょう。
ISO30414では、上記のほかに「労働力可用性」「リーダーシップ」「コスト」「生産性」「採用・異動・離職」「組織文化」「健康経営」「コンプライアンスと倫理」の全11領域、58項目が挙げられています。人的資本経営を実現するためには、このような観点で情報を管理していく必要があるのです。
後編記事では、「こうした情報の管理に、タレントマネジメントは有効か?」をテーマにお届けします。
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