今回は昇格・降格と賃金の関係について解説します。
賃金テーブルには、等級ごとに単一の金額とする「シングルレート」(単一給)と、同じ等級でも幅のある「レンジレート」(範囲給)があります。
シングルレートであれば、昇格・降格時の賃金は単純に該当等級の金額にすればいいだけなので、シンプルです。一方、レンジレートの場合、昇格・降格時の賃金については次の2つの考え方があります(ここでは、いわゆる「基本給」について取り上げます)。
降格時は上記の逆になります。
昇格へのインセンティブが高いのは当然後者です。単純横滑りでも、昇格をすれば将来展望が開けてくるので、やはりモチベーションは上がるでしょう。しかし昇格時点で何もないより、何かしらのインセンティブがあった方がモチベーションは高まります。
昨今、昇進昇格への忌避感が若手を中心に増えています。その理由の一つが、責任の重さと待遇のアンバランスです。その観点からも、一定の昇格昇給は必要と思われます。
ここまでは基本給部分について解説をしてきましたが、諸手当を活用する方法もあります。
例えば、基本給はレンジレート(範囲給)、昇格時は単純横滑りとします。一方、等級対応の手当(「等級手当」とします)は、等級ごとのシングルレート(単一給)にします。こうすると、昇格時に等級手当が上がります。この部分が「昇格昇給」となります。
レンジレートの設計は案外複雑です。
等級ごとに、金額の上限・下限を設定しますが(青天井方式もありますが、採るべきではないと考えます)、つくり方によっては、昇格した途端に上限額近くになってしまうこともあります。それを解消するために上限額を伸ばしていくと、今度は上位等級との重なりが大きくなってしまいます。
手当を活用することで、そのような問題を回避するのも、一考の価値ありと思われます。
賃金表は「賃金の幅の取り方」で分類できます。
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