ただ期間限定とはいえ、販売する食パンを全て『復刻「生」食パン』に切り替えるのは、リスクもあるのではないだろうか。小林取締役はあえて切り替えた理由を次のように説明する。
「もちろん今までのパンの方が好きだったと話すお客さまもいらっしゃるかと思います。そこはやはり好みになりますので、リスクは全くないわけではないと考えています。
それでも、今回復刻した食パンを通して、細かい味の機微をお客さまに伝えていく方が、乃が美を好きなお客さま、以前来ていただいたけれども足が遠のいているお客さま、あるいは乃が美に来たことがないお客さまにも、メッセージとして届くと判断しました」
確かにブームに陰りが出てきたことで、足が離れた人もいるかもしれない。しかし、それ以上にまだまだ高級パンの良さは知られていないと乃が美では受け止めている。
「食文化という意味では、高級食パンはまだ定着しきっていないと思っています。高級食パンを食べることを習慣化していただくために、機能的価値を訴求していくこと。同時に、日々の生活に彩(いろどり)が出るような付加価値の高い商品を提供していくこと。これらの発信を通して消費者に貢献することが、食文化としての定着につながっていくと考えています。
私たち以外にも真面目にやっている事業者はいらっしゃいます。リーディングカンパニーの責任として、高級食パン市場全体を盛り上げていく発信をしていきたい。そして乃が美が高級食パンの代名詞になるように精進していきたいです」
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