さらにContiでは、メンバー以外で外部から協力している人たちも確認されている。犯罪にかかわった協力者は、手に入れた身代金からパーセンテージで報酬を得ることになる。
こうした人材はどこから集まってくるのか。Contiにはもともとサイバー犯罪などを行ってきたとされる15人ほどのコアなメンバーに加えて、ダーク(闇)ウェブの掲示板などで求人も行っている。組織の末端になると一般的な求人サイトなどから人を集めているのも確認されており、そうして雇われた人たちはサイバー犯罪組織に協力していることに気づいていないケースもあるという。
筆者は以前、CIA(米中央情報局)の情報セキュリティ担当者(CISO)だった幹部と話をしている際に、「ロシア系のハッカーらが、オンラインゲームのチャット機能を使って、東京に住んでいるプログラマーを活発にリクルートしていたことを確認した」と聞いている。つまり、Contiに限らず、こうした犯罪組織のツールのプログラミング工程に、自覚なく協力してしまっている日本人がいるということだ。さらに、このCISOは「日本人のプログラマーは優秀だから」と言っていた。
とにかく、そうした人材も使いながら、世界中でランサムウェア攻撃を組織的に行っているのが、このContiなのである。
前出のセキュリティ企業KELAは、この暴露されたロシア語のやりとりを徹底研究している。その上で、同社が何年にもわたってダークウェブなどから収集して蓄積した莫大なインテリジェンス情報(データベース)に照らし合わせて、サイバー攻撃者たちの生態や組織、攻撃方法などを分析している。
現在KELAでは、同社の提供するダークウェブのデータベース分析ツール「DARKBEAST ENTERPRISE(ダークビースト・エンタープライズ)」を試用できる無料トライアルを行っている。このツールは、「高度な技術を採用したユーザーフレンドリーな検索機能を活用」していて、アンダーグラウンドに広がるサイバー犯罪者の集まる空間の「ありとあらゆる情報を調査」することが可能だという。
KELAの製品については、すでに日本の官公庁や大手企業、インフラ企業、教育機関なども同社のセキュリティシステムを導入していると聞く。
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