ソニー決算の3つのポイント 年1800万台出荷計画のPS5に質問集中(1/2 ページ)

» 2022年05月20日 11時40分 公開

この記事は、Yahoo!ニュース個人に5月11日に掲載された年1800万台出荷計画のPS5に質問集中 ソニー決算の三つのポイントに、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。


 ソニーグループ(ソニーG)の2022年3月期(21年4月〜22年3月)通期連結決算が発表されました。売上高は約10兆円、本業のもうけを示す営業利益は約1兆2000億円で、ゲーム事業がけん引する構図です。PS5に質問が集中した同社の決算について、ゲーム事業の視点から見た3つのポイントを挙げてみます。

photo ソニーG本社(出典:同社公式Webサイト)
photo ソニーGの通期決算

PS5出ていたら売上高10兆円突破も……

 1つ目は、ソニーGの売上高と営業利益は過去最高で、PS5の慢性的な品不足に苦しんだゲーム事業(売上高は約2兆7000億円、営業利益は約3500億円)が最大の原動力だったことです。グループに占める割合は、売上高と営業利益とも30%弱で、部門のトップでした。

photo グループ全体の業績をけん引したゲーム事業

 ということは、PS5が計画通りに生産できたら、売上高が10兆円を超えていたわけです。そして発売から3年目に突入するPS5は、さらに成長曲線を描くことが予想されます。ちなみに23年3月期の売上高予想は、11兆4000億円で、うちゲーム事業の部門別売上高予想も3兆6600億円。計画通りであれば大幅増です。

メディアの質問 PS5に集中

 2つ目は、決算説明会でメディアやアナリストの質問は、PS5に集中したように、PS5の出荷数が関心事だったことでしょう。23年3月期(22年4月〜23年3月)の出荷計画は1800万台で、部材調達のメドは立っている上での見通しです。22年3月期(21年4月〜22年3月)の出荷数は1150万台でしたから、大幅増なのは確かでしょう。

 しかし、ロシアのウクライナ侵攻、物流の混乱、世界的な半導体不足もあり、世界情勢の先行きが不透明です。中国で新型コロナのロックダウンでもあれば、再びPS5の下方修正が強いられる可能性もあります。

photo 慢性的な品不足のPS5(出典:SIE公式Webサイト)

 そもそも22年3月期の計画時も1480万台以上(PS4の2年目出荷数と同数)だったのです。世界の物流が混乱したため仕方ないにしても、300万台以上の未達だったのも事実。出せば売れるはずの商品が、手堅く見積もったであろう計画の8割強しか出せなかったのですから、苦戦ぶりがうかがえます。ゲーム開発会社を積極的に買収し、ゲーム事業の強化は進んでいるだけに、PS5以外……PCでの展開、収益強化が重要になってくるのかもしれません。

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