金融商品としての仮想通貨だけでなく、事業会社からのカストディニーズも今後急速に高まることが予想される。NFTの勃興とともに、ゲーム会社やスポーツ、エンタメ関連会社がブロックチェーンゲームやメタバースビジネスに参入しているからだ。
こうした事業会社にとって、最大のリスクは発行したネイティブトークンの管理にある。290万人が登録する大人気ブロックチェーンゲーム「アクシー・インフィニティ」では、3月にブロックチェーンが攻撃され、約750億円が流出するという事件が起きた。「ネイティブトークンを発行しても、取り扱いを間違えると、本体の母屋を脅かしかねない」(廣末氏)。安心して事業ができる環境を作るために、カストディのニーズはますます高まることが予想される。
一方で国内でカストディがこれまで生まれなかった理由には、法律面もある。有価証券のカストディは信託銀行が行う場合が多いが、仮想通貨では信託銀行がカストディを担えず、仮想通貨交換業者と信託会社しか行えないためだ。
仮想通貨交換業者は、株式でいう証券会社と取引所とカストディアンを兼ねてきた。3つの役割を各社がこなさなければならないのは、技術的にもガバナンス的にも厳しい。そんな中、廣末氏は「保管事業を8年間やってきたが過去一度も流出などの事故がない。ノウハウは業界随一」だとビットバンクの実績を強調する。
だからこそ、ビットバンクからカストディ業務をくくり出してJADATを設立するわけだ。ビットバンク自体もカストディ業務をJADATに移管する計画があり、他の仮想通貨取引所のカストディを引き受ける構想もある。「カストディを個社がやるのは非常に無駄。できる会社が横断的にやることで、全体最適を目指すべきだ」(廣末氏)
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