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あと1年半「しか」ない、インボイス制度 今すぐ見直すべきは何か取引条件の留意点(1/4 ページ)

» 2022年05月27日 07時00分 公開
[企業実務]

 消費税の免税事業者を仕入先に持つ企業では、インボイス制度の開始が仕入先との間の取引価格の決定に影響を及ぼすことになります。ここでは、取引条件を見直す際の注意点などを解説します。

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 本記事は、2022年5月号に掲載された「インボイス制度導入に際して確認したい免税事業者との取引上の注意点」を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集し、転載したものです。


 周知の通り、令和5年(2023年)10月1日から、消費税の適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が始まります。

 インボイス制度の開始は経理業務のみならず企業間の取り引きの在り方そのものに影響を及ぼすと考えられますが、ここでは特に、企業間の取引価格に与える影響と対応策について考えたいと思います。

 インボイス制度の開始自体は1年半近く先のことですが、そのための準備には今すぐに着手する必要があります。本稿を是非その準備に役立ててください。

仕入税額控除が認められる要件とは

 インボイス制度の開始がなぜ仕入先との取引価格に影響するのかを理解するために、まずインボイス制度の概要を確認しておきましょう。図表1は、消費税の計算の中でのインボイス制度の位置付けを示したものです。

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 消費税の納税義務を負う事業者のことを課税事業者、納税義務が免除される事業者のことを免税事業者といいますが、課税事業者である企業の消費税の納税額は、売上先から預かった消費税から仕入先に支払った消費税を控除(仕入税額控除)して計算することになります。

 といっても、仕入先に支払った消費税の控除は無条件に認められるわけではなく、控除するために満たすべき要件があります。

 令和5年(23年)10月1日以降は、適格請求書などの保存がその要件になるというのが、インボイス制度の具体的な内容です。

インボイス制度が取引価格の決定に与える影響

 インボイス制度の開始後、もしも仕入先から適格請求書の交付を受けられない場合、自社にはどのような影響があるでしょうか。

 適格請求書の交付を受けられないと、原則的には仕入税額控除の適用を受けることができなくなります。控除できなかった仕入税額は自社の負担となり、自社の消費税の納税額を増やし、利益を圧迫することになります。

 図表1の例でいえば、納税額が10から20に増え、控除できなくなった10は自社の負担になります。

 すなわち、仕入が100から110に増えることになり、利益が100から10減って90になってしまうのです。

 以上のように、適格請求書の有無は自社の利益に直接関わるため、インボイス制度の開始後においては、仕入先が適格請求書を交付してくれる先であるかどうかが、その仕入先との間の取引価格の決定にあたり考慮すべき要素になります。

 仮に、インボイス制度開始後に仕入先が適格請求書を交付してくれる先ではない場合、価格を下方改定してもらうか、売上先への販売価格に転嫁するか、あるいは従来と同一価格の取り引きが可能で適格請求書を交付してくれる仕入先に切り替えるか、いずれかの対応を取らないのであれば、利益減少を受容するしかなくなります。

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