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「やりたいことができない」と新人が早期離職──防止のため、企業がすべきこととは?「3つの円」のフレームワーク(3/3 ページ)

» 2022年05月27日 10時00分 公開
[企業実務]
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自己理解と会社理解の促進の場

 安定的な勤務の前提となる「will-can-must」を的確に見極めるには、自分自身、そして会社や社会に対する理解を深めることが必要です。具体的には、新入社員に、「自分はどうありたいのか」「何が得意なのか」「何をすべきか」それぞれの項目ごとに現状を再確認させます。

 そして、会社はどのような方向を目指していて、何を強みにし、何で収益をあげていくのかについて、役員や先輩社員から話を聞きながら改めて会社と自分の関係について理解を深めてもらいます。

 先ほど触れた通り、3つのうちのいずれかに偏ってしまうと、会社から必要とされず、成果も出ないということになりますので、自分自身と会社のマッチする部分を確認し、今後の目標を立てさせるようにするとよいでしょう。

 なお、この職業観やキャリアについて考える機会は、入社時に限らず、定期的に設けることが重要です。

 当然ながら、人は経験によってやりたいこと、できること、求められることが変化していきます。

 その時々で、自分自身の目標を振り返ったり、置かれた環境や会社内での立場、役割を客観視したりすることで、適切な自己理解につながり、会社から何を求められているか、何をすべきかといったことが明確になります。

新入社員にはキャリア研修を

 正しい職業観の醸成は、新入社員の業務を本人任せにしたり、キャリアについて説明もせずに「先輩の背中を見ろ」といった考え方では得られません。

 そのため、集合型でのキャリア研修や、個別に行うキャリアカウンセリングなどをしっかり行います。

 多くの会社で行われる、会社説明や一般的なマナーなどのテーマだけの新入社員研修ではなく、職業観について教えたり、社員同士のディスカッションなどを通じて、自身で考えさせる時間を設けることが重要となります。

 また、キャリアコンサルティングやコーチングのスキルを有する専門家に委託することを検討してもよいでしょう。

著者:田代 倫大(たしろ・みちひろ)

税理士法人峯岸パートナーズ新宿オフィス/公認会計士・税理士

社会保険労務士法人名南経営/マネージャー・キャリアコンサルタント

クライアントの日常的な相談対応や就業規則整備を行なう傍ら、グループの新卒採用の企画運営、育成・教育にも従事する。

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